冒険16─ようこそドランへ
「あー、やっと見えてきた」
「やっとですか、や、やっと…」
「おい、まだバテるな。後少しだ」
と、いう俺も足が棒みたいになっている。
いや、加護があった所で疲れるものは疲れるのだ。
読み物のチートは夢見すぎだってやつか?
空でも飛べるとか思った? ざんね~んってやつだ。
いや、飛べるかも知れんが、今のところ飛べん。
そう、膝が笑ってるのが現実だ。
隣の自称美少女天使様でさえ、ガクガクしている。顔はまぁ…老け込んでるよ。疲れでね。まぁ、俺も似たようなもんかも知れんが。
「おー! 大丈夫か、あんたら? 身分証明は出来るか?」
「あぁ、ほらお前もギルドタグを出せ」
「は、はい、コレ」
「お嬢ちゃんもお疲れだね。あいよ、2人と身分の確認はオッケーだ。パーティーなんだな! 冒険者ギルドは入って真っ直ぐに中央の近くにあるぞ! 通して、よし!」
「はい、ありがとさん」
ヒラヒラと手を振って街の中に入っていく。
あぁ~、やっと人の街に来た。
やべぇ、宿も探さないと行けないのか、マジか。
もう疲れてるんだが。
「なぁ、お前…宿の場所とか分かる?」
「分かるわけ無いじゃない、バカなの?」
ですよね~。えぇ、そんな気はしてましたよ。
物語だとそういうのポンポンと出てくるんだよ。読み物はな!
とりあえず、冒険者ギルドに挨拶して受付嬢からオススメの宿を取り次いで貰いましたとも。
「へぇ、宿はどうするんだい? 一人一部屋? それとも2人で1部屋にするかい? 2人の方がお得だよ」
「そりゃあ、決まってるぜ。「2人」1人部屋だ」
「どっちなんだい?」
おい、この駄天使。いい加減にしろ。
お前、男女一緒に部屋で良いのかよ。
堕天しちゃうぞ? させちゃうぞ? 過ち起きちゃうぞ?
「一緒がいい、お得だし、飯代になる」
「…わぁたよ。2人で1部屋だ。それで頼む」
「あいよ! 朝食はサービスであるよ。時間内に来たらサービスだ。過ぎたら有料だ。後は夕食、夜食は有料だよ。お湯桶は銅貨5枚だ。追加は銅貨2枚だよ。はい、3階の角部屋の陽当たりは中々いいよ! これが鍵だ。ようこそ!」
「ありがとさん。ちなみに湯屋はこの街にあるのか?」
「ああ、同じく冒険者ギルドの近くにあるはずだよ」
ありがとさん、と軽く挨拶して鍵を受け取っては部屋になだれ込む。
おー、中々の広さで良い部屋じゃないか。
ベッドに机にちょっとした棚もある。
簡素とか言われそうだけれども、掃除も行き届いているし、良いじゃない。
流石、冒険者ギルドのオススメの宿だわ。
「いい部屋ね! とりあえず、お腹空いたわ! 後、お風呂!」
「へいへい」
まぁ、分かりますよ。
俺も同じ気持ちだからね。
さて、とりあえず飯でも食いに行きますかね!




