冒険116─最期の旅先はウェストールへ。
「ウェストールの最新情報になります。遂にクーデターが終着しました」
「終着……! 母はどうなったのですか!」
ウェストールの突然の話題に王女ちゃんが目の前に躍り出る。
「クーデターは成功です。しかし、多大な犠牲が出ました。王家、貴族は王家の秘宝や、家宝を存分に使い捨ては貧民層に限ってはほぼ戦死しているとの事です。王家と貴族は自爆覚悟だったのでしょう。土地とともに滅びてはその領地の疲弊は大きく、ダンジョンがあっては冒険者ギルドが存在している街は何とか街として機能しており、冒険者も居る形になっております。平民側の犠牲も多く、産業や建築、王都の崩壊も大きく、その王城も崩壊しているようです。そして、王女様の母上ですが、存命です。今は暫定的なウェストールの女王として民の民意で即位しており、冒険者ギルド本部のギルドマスターが補佐として就き、現在はウェストールの復興に当たっているようですが、物資も人材も資金面も全てが足りていない状況との事です」
「お母様──!! あ、あの! 旦那様!」
「すみません、続きが。コレはアナタ宛です。もし、アナタにこの連絡が届くようなら、ウェストールの復興の手伝いを頼みたい。後は王女様の安全は保証されたと言えるとの事です。やっとお伝え出来ました。この連絡は3日前のものです。万が一、私に何かあれば伝えられないかもとヒヤヒヤしておりました」
「ありがとう御座います。ギルドマスター様」
そう言って、王女ちゃんはギルドマスターに頭を深く下げていた。
「それじゃあ、どうするの? 私にはアナタがどうするか分かるけれども!」
そんな感じでポンコツ駄天使は嬉しそうに俺に話しかけてくるが、確かに俺の中で答えは出ていた。
後は、皆が同意してくれるかだが。既に皆は頷いては俺を見ているし、魔王と参謀はハテナマークを頭に浮かべては居るが、そこら辺の事情は道中にでも沢山話そうと思う。
「皆、次の──いや、暫くはそこで留めるだろう。もしかしたら、一旦旅の終わりかも知れない。だから、暫定としてたが、最期の旅先はウェストールだ。着いてきてくれるか?」
「旦那様……ありがとう御座います」
そう、王女ちゃんは俺に抱き着いてはポロポロと涙を零すものだから、ぎこち無い手の動きだが頭を撫でてやった。
それだけでも、嬉しかったのか王女ちゃんの抱きつく力が強くなっては俺はなすがままになるのだった。
「ギルドマスター持ってきました!」
そして、タイミング良く受付嬢がギルド長室へとノックしては入ってくる。その手には袋いっぱい詰められた物資が入っており、後いくつか有りますが、とりあえず1個目です! と受付嬢は言いつつ、置いては立ち去っていく。
「状況が状況だからね。私の方でもしかしてと思って用意しておいたんだ。持って行くかな?」
「ありがとう、貰っていく。金は──」
「要らないよ。君には多大な恩義があるからね。本当はお酒の1つでも飲み交わしたかったけれども、いつか叶うと良いな。持っていってくれ。そして、無事にウェストールに着いてはウェストールを頼むよ。冒険者ギルドは平和機構の側面もあるからね。ウェストールの早い復興と安定を望むよ」
「ありがとう、すまないな。後、そうだな。いつか、タイミングが合えば是非呑み交わそう」
「気を付けて」
「ギルドマスターこそ、達者でな」
そう言って、ギルドマスターと俺達は別れを済ませては、入って来て早々だが、手早く聖都マリアージュを出ては、今では既に懐かしくも思えるウェストールへと最期の旅へ向けて出発するのだった。




