冒険112─本来の魔法はきっと夢を叶える為のものなんだ。
「ありが、と、う──そして、すまな、い。ゆるせ、あぁ……さ、んぼ、う──」
クタッと首がストンと落ちる。
魔王の最期は呆気なかった。赤子を捻るようなものだ。ただ、俺に深い罪悪感を植え付けただけに過ぎなかった。
「ごめんなさい」
そう言って、気付けば駄天使が俺を後ろから抱き締めては泣いて謝っていた。
「いいんだ、俺は託されたんだ。何、コレで後は淀みを何とかしたら、後は幾分か平和になるだろう。なら、俺はそこでコイツらの分も生きるだけさ」
あぁ、強がりに過ぎないさ。
「アンタ……」
俺の強がりに気付いたのだろう。ツンデレ聖女も抱き締めてくる。気付いたら、王女ちゃんも、耳長も俺を抱き締めてくれていた。
「おい、まだ、全て終わってないんだぞ?」
「もう、大丈夫ですか?」
「キミ、辛かったら。いつでも甘えて良いんだからね?」
王女ちゃんに、耳長のその提案は甘美の響きだな。
「主よ……」
「お主、参謀だぞ」
「ああ、ありがとう。彼女の横に横たえてくれないか? 駄天使? 俺以外の皆の強い結界を頼む。俺は後処理をするよ」
「分かったわ。気を付けて、ね?」
「誰に言ってるんだ。あぁ、気を付けるよ」
淀みが、その淀んだ魔力が荒れ狂い始めてるのを感じる。
魔王が抑えていたのが無くなったからだ。
俺は目の前の横たえられた魔王と参謀を見やる。
そして、ふと閃いてはアイテムボックスから生まれたてのダンジョンコアを取り出す。
視線を感じては振り返ると皆の視線が「何をする気だ」と訴えかけてきていた。
いや、思い付きだ。
思い付きだが出来るはずだ。
このダンジョンコアは生まれたてで、自我が無い。
それは下地が無いと言うことだ。
そして、魔王と参謀はいわばユニットと言っていた。
ダンジョンから生み出される存在だ。
なら、それを組み合わせる事は? 出来るはずだ。
でも、その大掛かりな事が出来る、可能にする為の魔力は? ここにある。そして、それを変換、いや可能にする為の術を持っている存在も俺という存在が居る。
「あぁ、希望はあるじゃないか。そうだ、希望とは降ってくる物を待つんじゃない。自分で手繰り寄せる類の物だったな。忘れそうになっちまってた」
あぁ、これは良い。これは高鳴るな。そうだ、魔法とはそもそも、心踊るものなんだ。
奪うものじゃない。創るものだ。
それを今から叶えようというのだ。先程までのどうしようもない罪悪感は俺からは立ち消えては今は物凄い興奮と絶対にやり切るという覚悟が溢れてきていた。
その想いのままに俺はこの世界に訪れて、最初で最後になるかも知れないだろう全力を全開で、今までの中で一番。いや、今後の中でも一番だろう。俺は全てを賭けて魔法を組み上げては発現させていくのだった。




