冒険111─ままならない世界。ままならない魔王。希望もない世界。
悪魔の参謀の強さは──いや、ここで強さは関係無いだろう。
ただ、参謀の強みはなんと言ってもその知恵や知性だ。
それを言ってしまえば分かるだろう。彼は自分の使命に従って全力で抵抗しては最期は幸福の顔で死んでいた。
俺もなるべく、苦しまないように殺したつもりだ。
そして、奴の願いを聞き届けようと思った訳では決してないが、奴を丁寧に扱っては、そのまま静かな魔王城を進み、その王座の間へと歩み入ったのだった。
「そうか、参謀は無事に逝けたか。そして、丁重に扱って頂き、感謝する。奴の願いを聞き届けし者よ。そして、これから今を持って私の願いをも聞き届けし者よ」
「お前が魔王か」
「左様。まだ生まれて間も無い故に、威厳を欠ける姿を容赦して貰いたい」
「そんな事は無いさ。むしろ、魔王なのに歳を重ねるのだな」
「それは、我も思った事よ。参謀は既に成人した姿だったからな。きっと、システムに不具合が生じておるのだろうよ。碌にメンテナンス、いや、様子を見に来ている気配もない。きっと、何かしらが壊れているのだろうよ。なぁ、天使よ?」
「余り、虐めてくれるなよ? 俺の腹の居所が悪くなる」
「ふむ。それは悪かった。だが、我も一言言ってやりたかったのだ、赦せ」
「そうだな。逆の立場でも俺もそう言うだろう」
あぁ、現にこんな胸糞悪い事をさせられていて、文句の1つは神が居たら言ってやりたい所だ。
それにどうもやり辛い。目の前の魔王はツンデレ聖女と同じような年齢に見える。事情を知ってしまったツンデレ聖女も自分と似たような年齢の魔王を見て、そして覚悟を聞いては苦虫を噛み潰したような表情で俯いている。
「さて、何か話したい事はあるか?」
「ある。もし、我の亡骸が消える事がなければ、参謀と一緒にどこでも良い。一緒に埋葬して貰いたい。それか我の身体さえも素材として扱われる危険があると思うからの。お主の手で、参謀と共に浄化の要領で消滅させて貰いたい。その際には我と参謀の魂が共に歩めるように祈って貰いたい」
「分かった。消滅の方向性で行く。祈りの方も俺ので良ければ捧げよう」
「あぁ、頼む。そして、我が死したら、きっとこの抑えている淀みが暴走するはず。その魔力を全てを持って、それならば我と参謀を消滅する為の媒体として使って貰いたい。我がきっと、良い方向へと力を流してみせよう」
「豪胆な事で」
「魔王だからの」
「では──」
「ああ、来い。来るが良い。死んでくれるなよ?」
言葉は多くは要らない。
それに魔王といっても成人を迎えていない。そう、全盛期があるとすればまだ成長期な魔王と言える。淀みの漏れ出しを防ぐ為に力を割いてもいる魔王だ。参謀の強さとは雲泥の差で、弱いはずだ。結果は見えているはずだ。魔王は安心しきったような、どこか安らかな顔で泣きながらも俺へと必死の抵抗を始めたのだった。




