冒険107─情報と予想との擦り合わせ。
「なぁ、駄天使」
「なによー」
「お前から見て、神様って神様も1人じゃ無いんだろ? 以前に複数の天使を雇ってる神様も居るって言ってたものな?」
「そうね」
「でだ、その中でお前の雇ってる神様はどんな奴なんだ?」
「見て、分かるでしょ? 神様としての経歴は長いから沢山の世界を管理しているけれども、でも雇っているのは私だけ、私の意見は聞かないし、基本的に放置。そういう、杜撰な管理をする人、アナタの世界では管理職で無駄に齢を重ねて人で居なかった?」
「あぁ……居たな」
そんな俺達のやり取りを見ては、皆の神様象が崩壊していっているのか、遠い目をそれぞれしていたが、1人だけ疑問符を浮かべては俺を見てきている存在が居た。まぁ、ツンデレ聖女だ。そして、とりあえず、コイツはもう覚悟を決めている目をしている。意地でも俺から離れないだろうし、離れようものなら──という奴だ。一度、本当に人生を諦めた奴だ。ちゃんと助けると決めたなら、俺の事情は話すべきだと改めて、皆を集めては宿の一室で俺と駄天使の事情を話すのだった。
「んー? そうなると、私の国の問題もメンテナンス? という、管理をしていなかったのが原因なの?」
「いや、まぁ、それも可能性の1つだと言うことだ」
「各地で起きていた、異変と言いますかクラーケン、シーサンペント。後は人の機敏の変化なども、その自浄作用の影響は受けてるのでしょうか?」
「王女ちゃん、何から何までとは分からないさ。本来の気質というものがある。けれども、上手く機能が動作していない場合は、確かに影響は小さくとも働くかも知れないな。それが人の争いだったり、欲望を刺激したり、まぁ、碌でも無い方の悪影響の方かも知れないがな」
「そうなると拙僧の方の事もそういう影響がある可能性もあったのか?」
「儂も同じか?」
「そんなに意識しなくても良いさ。それに今に始まった事じゃない。もう、この世界が生まれてから今までの事だろうしな」
「でも、そうなると危ないかも知れないわね」
「どういう事だ、駄天使?」
「いえ、そうなるとよ? 私とアナタで、どんどんと淀みを消していってるようなものじゃない? でも、淀みは綺麗に消えようとはしないと思うの。だから、私たちの移動上、その逃げた先って、最後は局所的に全部の淀みが集まると思うのよね。それって危険だと思わない? 早く何とかしないと!」
「天使様……」
いや、王女ちゃん。そんな残念な子を見るような目でポンコツ駄天使を見ないでくれ。ほら、信仰心を取り戻して欲しい。もう、残っているかは甚だ疑問は残るが。
「ねぇ、その集まった淀みの結果、魔王が蘇ったって事なの? どうなの?」
ほら、ツンデレ聖女はちゃんと終着点を得ていたぞ、ポンコツ駄天使。
「さぁ、どうだろうな。でも、コレも机上の空論だ。ただ俺達の会った、悪魔の参謀とやらは、予定外の生まれだと言っていたし、生まれてしまったからには自浄しないといけないと言っていたな」
「なんなの、ソレ。意味分からない! 自浄って何? アタシ達が悪いヤツみたいじゃない!」
「みたいじゃなく、悪いんだよ。人は行き着く所は欲望の塊だ。その結果、悪い方面に行ってしまう場合がある。本来はそういうのを歯止めする為の装置だったんだろうさ。それに、その悪い欲望の集大成の結果、今回はお前が生け贄にされそうになっていんだぞ、ツンデレ聖女?」
「うっ、確かにそうだけど……でも、でも!」
「分かってるって、良い奴も居るって言いたんだろ。ほら、落ち着け。大丈夫だ。万が一が起きない為に、今こうやって俺達が居るんだ」
「べ、別にそう言う訳じゃ、無いんだから…」
大人しく、俺に撫でられては満更でもない顔でツンデレ聖女は大人しくなった。が、ソレを見た女性陣が然りげ無く、いや、結構大々的に俺に頭を差し出してくるから、俺は暫く頭を撫でることに努めることになってしまった。
「とりあえずだ。もし、この予想が正しければ、今までのメンテナンスの怠ったツケが全て凝縮しては集まった場所に俺達は行くことになる。そして、それを解決したら、一旦はこんな騒動は収まると俺は信じてる」
「そ、そうよね! 私たち、出会ってから今まで忙しかったものね!」
「おい、どの口がそれを言う」
「ひゃ、ひゃってぇぇ、ひゃめてぇぇ」
全く、このポンコツ駄天使は。まぁ、コイツに悪気は無い……はずだよな? とりあえず、涙目のコイツを疑うだけ損か。
俺達はとりあえず、1日はしっかりと宿で身体を休ませて、必要な物や準備の確認をしては数日を支度に奔走し、ギルドマスターからの記憶媒体の解析後の対応を聞いて、足早に聖都を旅立っては魔王ダンジョンへと旅立つのだった。




