冒険103─誰が為の戦争。
「まさか、こんなに早く移動をしてるなんて」
「あぁ、確かに予想以上だな」
耳長の言葉に俺は同意をする。
元から討ち死に軍とでも、言えば良いのだろうか。
彼らは強行軍も真っ青な程に強行していたようだ。
道中には死んでしまった馬も皮と骨だけが残されていては棄てられていた。人も──同じように散見されたが、それらはなるべく直視しないように俺達は進むしか無かった。俺でさえ、直視していたら、一瞬でもツンデレちゃんでは無いかと思うと気がそぞろになるからもあった。
俺達は徒歩と走りを使い分けては進んで行き、道には迷う事は無かった。何故なら、死の道がそこには出来ていたからだ。
嫌気が指すほどに、無理な強行軍の成れの果てを見つつも数日、やっと俺達は目の先で彼ら、強行軍と魔王軍と思われる、魔物と悪魔の混成部隊との衝突しては戦争を起こしている光景を目にするのだった。
「戦えー! 戦えー! これは聖戦である! 逃亡は死だ! 天へも逝けぬと思え!」
人類側の鼓舞が聞こえてくるが反吐が出る。
兵士達も良く見れば様子が可笑しい。ヘラヘラ、ケラケラと笑いながらも敵に猛然と斬り掛かっている。
「うっ、キミ。余り吸わないほうが良いかも。これ、良くないのが交じってる」
耳長に言われては彼女の目を追えば、彼らが食していたであろう配給食が目に映る。
「酷なことをする。儂の予想だとこれは食事に麻薬を入れてやがる」
麻薬、麻薬ってアレか、この世界にもあるのか。
「この匂いは思考を一方向へ誘導しやすくし、自我を失わせる類のヤツだった気がします」
王女ちゃんは少しだけ匂いを嗅ぎつつ、そう判断していた。やはり、昔から暗殺に狙われていた王女だ。そちら方面の知識は豊富なことで。
「して、主よ。拙僧らも戦いのテリトリーに入った模様だぞ。目の前に敵が来ている。どうする?」
「位置は、ここに来て分かっている。俺の魔力が聖女の位置を感じ取っている。道を切り開いて貰いたい」
「了解した」
そう言って物騒僧侶は槍を構え直す。
「駄天使は──「分かっているわ! 皆にバリアを張るわね!」頼む」
「私は天使様のサポートをします」
駄天使の前には王女ちゃんが進み出ては現れた魔物の攻撃を切り払っては守りに着く。
「すまないな。皆、頼む! 位置はコッチだ! 最短で行く!」
この狂った戦場に何とか降り立った俺達は未だ、奇跡としか思えないが反応を感じ取れたツンデレ聖女へ向けて駆け始めたのだった。




