冒険102─決断。
「偽りの聖女ですか」
「いや、一瞬は俺の見間違えかと思ったんだが、確かにアレは彼女だった。何よりも俺の贈った指輪をしていた」
女性陣から「指輪をプレゼント?」と、ヒヤッと背中が冷たくなる視線があったが、今はそれどころじゃない。
それを分かっているのか、女性陣からの追撃は無かった。安堵の息を密かに吐きつつ、俺は会話を続ける事にする。
「魔力を付与していたんだ。加護と称してというよりは邪気を払えるように浄化の力を込めていたんだが、だか、それによって魔力のパスが繋がったのか向こうの意志が俺に流れ込んできたんだ」
「それが彼女の助けてという言葉ですか」
「彼女は泣いていた」
「そうですね、私も観ていました。彼女は都合のいい宣伝道具みたいなものでしょう」
「都合のいい? どういう事だ?」
「余り殺気を飛ばさないで下さい。私の肝が冷えます「すまない」いえ、良いのです。心情はお察ししております。それでですが、冒険者ギルドとしても横槍を入れられたようなものですから、水面下では情報収集をしていました。その中ですが、今回の遠征軍に加わっていては参加しているのは、その……消えてもいい存在と言いますか。要職に就いている者に関しては全員、今回の遠征軍には参加していないのです。どれも新人や軍の功績が中途半端な者、問題児、どうしようもない者たちや、このマリアージュでは厄介とされてる者など、それらの寄せ集めなのです」
「待て、その話を聞く限り。拙僧は思うのだが、魔王軍に勝つ気はあるのか? まるで、討ち死に行くように聞こえるのだが?」
「私共もそう思い、更に探りを入れていましたが、怪しいやり取りを見つけたのです。汚れドワーフ殿は長距離通信については存じておりますか?」
「ん? あぁ、儂もあれの製法にはちと知識があるし、何よりもドルネル国でも保有しておる」
「そうですよね。その際に使用した際に魔力の跡が残るのは?」
「それも把握しておる」
「で、何が言いたいんだ? ギルドマスター?」
俺が先を急げと告げると「おほん」とひと息ついてはギルドマスターは話を続ける。
「その使われたような跡が魔王軍が居るという方面へと残っていたのです」
「うーん? それって、おかしくない? エルフの私でも分かるわよ? なんで、魔王軍とやり取りなんかしてるのかしら?」
「私共もそこまでは調べられなかったです。すみません。ですが、どの道、この話をしようとはしていましたが、まさか、アナタ方の方から来て、未だに驚いております。ですが、どうなさるのですか?」
「俺は──」と言い淀んでしまったら、背中を叩かれては振り向くと駄天使が居ては「何、グズグズ悩んでるのよ! アナタらしく無いわよ! どこででも付いて行ってあげるから言いなさいよ!」と言ってきていた。
「私も天使様と同じです。旦那様に着いていきます」と、王女ちゃん。旦那様か、そう言えば、最初は違和感があったが最近は違和感が無いというか。運命を共にしてくれるか、悪くはないが申し訳ないな。
「俺は遠征軍を追いかけたい。いや、彼女の救助を最優先にしたい。その後の事は、またその後に考える。着いてきてくれるか?」と、皆に問い掛けたら同意の声が返ってくるまではすぐだった。
「分かりました。冒険者ギルドとしても最大限のバックアップを約束致します。取り急ぎ、必要だと思われる物資を用意させて頂きます。必要なものがあれば教えて下さい」
ギルドマスターも1つ大きな息を吐いては、こちらを見据えてはそう宣言しては行動を開始していた。
俺達は忙しなくも準備に奔走しては聖女を追い掛ける為の準備を整えては彼女を追い掛けるのだった。




