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孤独な英雄
武装勢力との緊張が日に日に高まる中、
情報筋から、敵対勢力支配地域に重症患者が取り残されているとの報告が入る。
患者は、地元の村長の息子であり、緊急手術が必要だった。
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神崎は迷わず決断する。
「一人で行く。
チームを危険にさらすわけにはいかない」
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夜陰に紛れてY-01を離れ、徒歩で敵地へ向かう神崎。
現地は緊迫した空気に包まれ、あらゆる物音に神経を研ぎ澄ます。
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村長の息子は、重度の腹部外傷で瀕死の状態。
応急処置は施されていたが、感染と出血は進行していた。
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神崎は限られた資材で緊急手術を開始。
敵勢力の警戒は厳しく、いつ襲撃されるか分からない状況。
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手術は緊迫の連続だったが、神崎は冷静にメスを動かし続ける。
出血を止め、内臓損傷を縫合し、感染防止に細心の注意を払った。
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手術終了間際、敵兵の足音が近づく。
神崎は息を殺し、最後の縫合を終えた。
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幸いにも敵兵は通り過ぎ、神崎は患者を背負って脱出に成功。
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Y-01に戻った神崎は、疲労困憊の表情ながらも、微かに笑みを浮かべた。
「命を守るためなら、孤独でも戦う」