ふたつの誓い
旧国境なき病院跡での医療支援が軌道に乗り始めた矢先、
蒼鷹総合病院の本部から厳しい通達が届く。
「現地情勢が悪化しているため、MORUの即時撤収を命ずる」
理由は武装勢力の増加と、日本政府の外交判断によるものだった。
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神崎はメンバー全員を集め、静かに話す。
「俺たちは命を救うために来た。けど、撤退命令が出た。
俺たちの使命は、命を守ることと同時に、チームの安全だ。
ここでの判断が、チームと患者の未来を決める」
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メンバーの中で意見が割れる。
柊:「撤収は…患者を見捨てることじゃないですか?」
日向:「でも、武装勢力の攻撃対象になるなら意味がない」
サーシャ:「私たちには現地の命を預かる責任がある。私は撤収に反対する」
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神崎は答える。
「俺たちには二つの誓いがある。
一つは“救命”。もう一つは“仲間を守ること”。
どちらか一方だけを守るわけにはいかない」
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話し合いの末、チームは決断する。
「一部メンバーは撤退準備、
一部は現地で医療支援継続、
そして全員が安全確保のために連携を強化する」
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数日後、撤退チームは安全な地点へ移動。
現地継続チームは、限られた人数で命を救い続ける。
神崎はサーシャと共に現地に残り、最後の患者を救うために奔走。
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夜、Y-01の中で、神崎は呟く。
「どちらの誓いも、間違っていない。
でも、命を救うのは一人じゃできない――チーム全員で守るんだ」