9.神のいたずら
みんなを救ったつもりだったが、本当に正しかったのだろうか。新しい世界と引き換えに、そこ世界にあった古いもの、そこに住んでいた記憶を奪ってしまった僕は悪者なんじゃないだろうか・・・。
はっ!!
僕は目を覚ます。記憶が混同するなか、だんだんと目の前の景色が理解できるようになってくる。
「ここは・・・」
目の前の景色、僕は一度ここに来たことがある。
ここは図書館だ。目の前にいる少年の書斎というべきだろうか。少年は笑顔で椅子に座っている。
「いや~初めてのデスペナルティおめでとう。いや~実に勇敢だったね。だけど、次回からは、あんまりそういうことしない方がいいよ~」
少年は拍手しながら、心配そうに言った。
「余計なお世話だよ・・・、それになんだよあのドラゴン。いきなりきついよ・・・」
僕は大きく背伸びをする。
「あっ、あの後アミィや他の人たちはどうなった?!」
僕は椅子から立ち上がり前のめりになりながら聞く。
「うん、君の働きのおかげで多くの人を救ったのは明らかだよ。まあ、あと少しで戻れるから自分の目で確かめるといいよ」
「不親切だな・・・」
僕はへなへなと椅子に座り込む。
「ん、もう少しって、これから、その復活するまでここで暮らすんじゃないのか?」
「いや、違う違う(笑)、ここは現世とは時間の流れが違うからね、ここで何年くらそうと、現世とは関係ない、むしろ時間止まってるというべきかな」
神様の言うことはわかりにくいでござるな。
「もしかしたら、本当に君なら、ここにたどり着けるんじゃないかな、この書斎に」
神様は神妙な顔つきでポツリとつぶやく。
「えっと、現世からもここに来れるってことを言いたいのか?」
「さっしがいいね!さすが、あのピンチを乗り越えた英雄さんは違うね」
ジリリリリリ!!!
突然机の上の時計が鳴り響く。
「わっ!もうびっくりするから、この時計変えてくれない?」
「却下するよ、この時計が好きなんだ」
前回のように、身体の周りが青白い光に包まれはじめ、身体が浮いてきた!
「はぁ、デスペナだから、あれから何年たったんだろうな・・・レベルは元々なかったし、痛くもかゆくもないけど。アミィ元気にしてるかな」
「ふふ、君の頑張りに期待しているよ、あっそれと」
神様は消えゆく僕の耳に向かって一言
「ここに来るためには、あの鍵が必要だよっ・・・て、鍵どこにやったの?」
「・・・・・へぁ」
情けない声とともに、英雄は帰還した。このデスペナが重すぎる世界に。
僕は白いベッドに寝かされ、近くに身長が高いシスターがいる。
「目を覚まされましたね?ふふ、ではステータスカードをお確かめください」
「えっはい」
シスターは新品のステータスカードを渡してくる。思い出す、3秒で眠れるという文言。一生こいつと付き合っていかないといけないんだな。
「あってます・・・ラーシャです」
「よかったです。では、あなたが目覚めるまでに経った時間をお伝えします」
ごくり。
「6年です」
「ええ~、へへ、6年。えっ6年?」
ええっ、そんなに?じゃあ僕も6歳年をとって・・・っていうほど身体は成長しておらず、身長もそのままだ。
「うふふ、私の方が身長大きくなっちゃいましたね」
と、そのシスターは言う。その笑顔、どこかで見た気が。もしかして・・・。
「あっ、あのときのシスターさん?」
そうだ、思い出した。僕がパッシブスキルを習得したときにいたシスターだった。そのかわいらしい笑顔は残しつつ、だいぶ大人びた雰囲気を出している。
「ええ、お久しぶりです。まさか、ドラゴンを巻き込んで爆発する方だなんて思いもしませんでした」
「えっ、まぁ、そういうときもあるんですよ・・・」
あれ、なんだかいい感じ?もしかして、このまま良い雰囲気に。
バン!!
「動くな!!」
ですよね~。
「なっなんですかあなたたちは!関係者以外立ち入り禁止のはず、きゃあ!!」
シスターは男に捕まる。
「おい!乱暴は・・・」
男らしく、怒鳴り上げようとした瞬間、ジャキッと、鋭くとがった槍を向けられる。
「・・・シナイデクダサイ」
いかにも王族の警備兵っぽい甲冑を着た奴ら。その中の一人が言う。
「ラーシャ。貴様は6年前ドラゴンを錬成し、バルク様、アミィ様を殺害しようとした重大な犯罪を犯した。ルーツタウン、カサバル王からの命令において貴様をとらえる!!」
「えっ、はぁああああ??」
6年経ち、生まれたての僕を待っていたのは、冷たい牢屋だったとさ・・・。
いったいどうなってるんだ!!
第1章 完!
なぜラーシャは捕まったのか、あのとき何があったのか、アミィたちは今どこにいるのか、鍵の行方は?そして突然現れるカシマという男!
第2章 脱獄編開始!




