8.這い出るドラゴン!絶対絶命?
「なんで急にドラゴンが!」「逃げろ!操縦してくれる魔術師はいないのか?」「というか魔術師全員いないぞ!どうなってんだ?!」
「バルク隊長もアメトさんも見当たらない!」
パニックになっている船内。ドラゴンを目の前にし、頼りの綱であるバルクや魔術師を探すが見当たらないようだ。
僕は船を動かせるであろうアミィを見つける。
アミィは、杖をぎゅっと握りしめ、「お姉さま!アメトお姉さま!」と叫んでいる。どうやら姉を探しているようだ。
「おい!えーっとアミィさん!」
「お姉さま!どこに!」
すぐにどこかへ行ってしまいそうなアミィの腕を強めの力でつかんだ。
「アミィ!ちょっと、落ち着け!」
「あなたは・・・、はっ、聞いてお姉さまがいないの!」
「なんでいないのかはわからないけど、今はここから逃げることを考えよう!ほら、魔術師なら船を動かせるんじゃないのか?」
「だけど・・・、お姉さまが私を置いていくなんて・・・、ええ、わかったわ。ここを生きて帰るのが先ね」
しょんぼりするアミィを連れて、操縦席へ。
そこには魔術師のまねをして何とか船を動かそうとポーズをとっている者がいた。
「ごめんなさい、どいて!」
アミィはその男を押しのけ、操縦席の前で手をかざす。しかし・・・。
「どうして、誰かが運転できないようにロックをかけている・・・これじゃ逃げられない・・・」
「なんだって!」
僕とアミィ、青ざめた男たちは目を合わせ、アイコンタクト。
「戦うしかないのか・・・?」
レベル1の俺が、このドラゴンを倒すだって?できるわけがない。だが、ここから逃げる方法も・・・。
「そうだ!魔術師さんがワープで俺たちを逃がしてくれるって・・・」「ばか!その魔術師がもうどこにもいないんだろうが!」「いや!一人いる!」
男たちはアミィを見つめる。
「あんた!アメトさんの妹だろ?早く助けてくれ!」
男たちはアミィにすがるように近づいていく。
そうだ、アミィなら僕たちを助けられるはずだ!と思っていたが、何やら表情が暗い。
「ごめんなさい」
「ええ?」
男たち全員が口をそろえて反応。どうして?
「私、まだ未熟もので・・・まだ初級のワープ呪文しか使えなくて・・・お姉さまみたいな上級者であれば、いつでもどこでもワープさせることができるんだけど、私は、その・・・セーフポイント間でしか移動させられなくて」
アミィは今にも泣きだしそうな表情。男たちの表情は安堵から怒りへと変わっていく。
「じゃっワープさせられないってことかよ!」「おいふざけるな!」「そうだ!どう責任とってくれるんだ!」「俺たちを助ける作戦じゃなかったのか?」「バルクさんたちは俺たちを裏切ったのか?」「もう嫌だ!!」
再び阿鼻叫喚。皆が絶望に染まっていたとき、僕は思い出す。
「セーフポイント・・・。僕なら作れる」
えっ、と皆僕の方を見る。
「そうだ、僕なら作れるじゃないか!セーフポイントを!」
そういうことだったんだな、僕の力は今この時のために。
アミィが涙目で聞く。
「もしかして、あなた、セーフポイントを作るアイテムを持ってきているの?」
「アイテム?」
「そうだよラーシャのあんちゃん。あんな高額な物もってるのかい?」
どうやらセーフポイントを作るアイテムとやらは、今の僕には買えなさそうな代物みたいだ。
「いや、アイテムはもってない」
「それじゃあ、無理じゃねえか!」「頭おかしくなっちまったのか?」「もう嫌だ!!」
男たちは再び叫び始める。
「待って!セーフポイントを作れるのは嘘じゃないんだ!できるかもしれないんだ。僕の転生スキルとパッシブがあれば!見てろお前ら!」
僕はその場であぐらをかく。そして深く息を吸い、目をつむる。
目をつむってるからわからないけど、きっと何やってるんだって感じで見られているんだろう。そんな空気を鼻から吸い込む。
「目をつむれば3秒で眠れる」って、試したくもなかったけど、本当に寝れるのだろうか。
心の中で数え始める。
3
2
1
ぐがぁ。




