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4.転生者仲間?

 日も段々と暮れてきて、天井に吊り下げられている明かりがつく。ろうそくの明かりなのに、魔法がかかっているのか、ものすごく明るい。ギルド全体が照らされる。


え?なんで僕がギルドに戻ってきてるのかだって?

そりゃ、街にいたら、またやばい奴らに捕まるかもしれないって思ったからね。何より、時は金なりっていうでしょ?明日の晩御飯にありつくため、責めて仕事だけでも今日決めてしまいたいと思い戻ってきた。


もちろん、ギルド内にあの勧誘してくる女性がいないことを確認済み。



そう、そうだよ。転生スキルがしょぼいからってなんだ。僕にはこの肉体がある。ステータスは並みだけど・・・。

ぐぅ~っと腹の音が鳴る。


ギルドに張り出してあるのは、モンスターを狩る依頼だけじゃない。居酒屋のアルバイトの急募や、迷子の猫探しなど、結構庶民的な依頼もあった。値段も庶民的だけど。


贅沢言ってる場合じゃない。人さらいにさらわれる瞬間に助けてもらったこの命。もしかしたらあの人は神だったのかもしれない。神に助けてもらったこの命、無駄にするわけにはいかない。

そうと決まれば・・・。


「おいあんた」


「えっ?」


今日はいったい何人に突然話しかけられただろうか?仮面の男のこともあったから、身構えつつ振り返る。


「なんでしょう」


後ろにいたのは、いかにも普通って感じの長身の男性。黒い髪の毛がつんつんしている。


「そんなに身構えんなよ・・。お前、転生者なんだな」


「そうですけど、スカウトですか?もしかして、さっきの女の人の使い?」


男の後ろにあの女がいないか確認。よかった・・・いない。


「女の人?いや、ただ俺も転生者だしと思って。困ってると思って・・・。一応、声かけただけ」


「はぁ・・・えっあなたも転生者なんですか?」


「まあ、座って話そう」





「単刀直入に聞く。転生スキルはなんだ?」


「ええぇ! えっと~」


僕の前にいる黒髪イケメンの長身、ミコトはさりげなく聞いてきた。

ミコトからおごってもらったオレンジジュースを、僕はブサイクな顔で一瞬で吸い切った。


「僕の転生スキルは・・・瞬間移動ができます!!」

「ウソこけ、すぐに寝れるだけだろ」

「ひどい!・・・って知ってるじゃないですか!」

「もうギルド内に噂になっているからな、試しで聞いてみただけだ」


喉がカラカラだった僕に、ジュースをおごってくれた。だから第一印象最高だったのに、ひどいからかわれ方だ。第二印象は最悪だ。


「お前ももう知ってると思うが、この世界で転生者は特別視されるんだ。まあ、お前の場合、誰もマネしたがらないスキルだけどな」


「ぐぬぬ」


「久しぶりの転生者で騒ぎになってたからな、いろんなところで転生者詐欺も始まってる。用心深いやつは、必ずカードを見せるように言うんだが、依頼に慣れていないやつはホイホイ騙されて、高い装備を買い与えてしまったり、報酬金を前借されて逃げられたりだ」


ミコトはジュースを飲み、あれを見ろという感じで、反対側の机を指さす。

パーティーの勧誘の面接だろうか、小柄な男が3人の男の前で何やら話している。


「僕のスキルはどこでも寝れます!」

「おお~」

「1!2!3! ぐが~~」

「おおすごい!!!・・・・・・で、これを戦いでどうやって生かすんだ」


「ククク・・・」


ミコトは手で口元を隠すように笑う。

恥ずかしい。これって間接的に僕馬鹿にされてない?

ミコトはニヤニヤをこらえるようにして、話をもとに戻す。


「まあ、こんな感じで詐欺は明日にはなくなるだろうな」


「そういうミコトさんは、いったいどういうスキルなんですか?こんだけ馬鹿にするならきっとすごいやつなんでしょうね!!」


「俺か?うーん。さくらんぼのへたを舌で結べる」


「いやっそれって!!!・・・・・・すごくないか?」


やったことないからわからん。いや、絶対馬鹿にされてる!!


「そんなスキルあるわけないでしょ!」


「ククク・・・・・・秘密だ。俺のスキルはあまり言いふらしてもいいことないからな。それと、あと一つ」


ミコトは僕の目をじっと見つめる。


「ここに来るときにギフトをもらってないか?」


「ギフト?」


ギフト?贈り物?僕が唯一持っている物といえば。


「この鍵・・・のこと?」


ポケットから鍵を取り出す。ミコトは今までにないくらいこの鍵を真剣なまなざしで見つめる。


「そうか、鍵か・・・。どこの鍵か見させてもらってもいいか?」


「いいけど、使い道わからないよ?」


ミコトは僕の手から鍵を取り、まじまじと眺める。そんなに重要なアイテムなのだろうか?

まじまじと見つめた後、ミコトはゆっくり語り出す。


「お前は、ここに来る前の記憶はあるのか?」


今までのおふざけモードとは一転。真剣なトーンで話している。


「いや、ないよ。全く。何も覚えてない」


「そうか・・・なら」


ドン!


ミコトの言葉をさえぎるように、目の前の机にナイフが突き刺さる。


「うわっ!!」


思わず叫んでしまい、危うく後ろに倒れそうになる。


ナイフを突き刺した男は全身黒い装備で、まるで獲物を見つけたかのような目でミコトをにらんでいた。


「だ~れかと思えば、元勇者パーティーのミコト様じゃねえか?魔王軍倒しててっきり天狗になってると思えば、しけたつらしてるなぁ!」


「よう、バルク。あいかわらず刃物で人を驚かすのが得意だな」


がやがやしていたギルドの雰囲気が一変、この二人に注目が集まった。

ミコトはバルクという男と視線を合わせないようにしているが、バルクはずっとミコトを睨みつけている。


「えっと・・・二人は友達ですか?」


恐る恐る、場を和ませようとしたが、逆効果だった。


「はっ!友達の分けねえだろうが!アホか!!」

「ゴメンナサイ」


バルクは僕に吠えた後、ミコトの胸ぐらをつかむ。

「元勇者様はいったいどこにいんだよ!ああん?!世の中変えるって出てった割には、何にも変わってねえんだが?もたもたしてっから、俺たちが明日の討伐に行くしかなくなっただろうが!」


まさに一触即発。なんとか止めようと思うが、僕の力はあまりに非力。黙って見守るしかなかった。


「協力したくねえってんなら、せめてカシマとアマネの場所を教えろや!」


「・・・今、喧嘩中でな。俺も場所を知らない。わかっただろ?この手を放せ」


ミコトはバルクをようやく睨み返す。なんだか目の色が変わったような気がしたけれど、バルクはその言葉を聞き、思ったよりすんなりと手を離した。


「ふん。気色わりい。何が勇者パーティーだ。おい、そこのガキ。まさかとは思うが転生者か?」


「えっ・・・そうなんです、痛たたっ!!」


「ならちょうどいい。人手が欲しいんだ。こっちきやがれ。ミコトは二度とこのギルドに顔出すんじゃねえぞ!」


急にバルクに腕をつかまれ、腕を引きちぎられそうになりながら強引に連れて行かれた。

一人ミコトを残して。


あれ?そう言えば、似顔絵もないのにミコトはどうして僕が転生者ってわかったんだろう。


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