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05. 入学式

 僕が月乃矢さんの家に住むことになってから数日がたった。

 そして昨日は制服が届き、今日は入学式。

 集まる人の中に友人を探したが、入学試験で落ちてしまったのか見当たらなかった。


 学校は東京ドーム一個分以上の広さはあるそうだ。その中には校舎と体育館がある。ただ校舎や体育館よりも広大な範囲を占めているのが闘技場と訓練場らしい。対侵略者育成機関だからか?


 案内されて入学式の会場に行くと、大半の生徒が席についていた。来た順に席を詰めていくようなので、順番通りに席に座った。


 そして数十分後、入学式が始まった。順調に式は進んでいき、校長先生の話になった。


「校長の瀬ノ浦理乃(せのうらりの)だ。これから君たちは己の持つ力を育成して、侵略者を倒していくことになる。だが力を一人で育成するのは厳しい。そこで君たちは、クラスで二人組と六人組を作り、共に成長していってほしいと思う。さて、今言った二人組と六人組を作るために必要な情報、クラス発表を行う。一人ずつ呼んでいくから返事はせずに起立しろ。一年一組、空成優樹」


 まさか一番に呼ばれると思っていなかったので慌てて返事をして立つ。校長は特に気にする様子もなく続けた。


月乃矢桜(つきのやさくら)日ノ守宇立(ひのもりうだち)星野光里(ほしのひかり)歌倉沙良(かぐらさら)井ノ元遠瑠(いのもととおる)……」

月乃矢さんと同じクラスだ。


 そして次々と名前が呼ばれていき、次に担任の挨拶が始まった。


「一年一組担当、櫻井理花(さくらいりか)です。クラスで私のことは話しますので、ひとまずよろしくお願いします」


 そして順調に入学式が進んでいった……まるで、嵐の前の静けさのように。


突然、何かが体育館の天井を突き破ってきた。天井が崩落し、そこから怪物の頭が覗いた。


僕と月乃矢さん、ほかの数名は力を発動させ武器を出したり発動準備をしているが、大半の生徒は突然のことに動けていないようだ。

 校長や担任は、生徒がどう動くかを見守るらしい。


外に出ると怪物と数名の生徒がいた。怪物は

 動き出していた数名がそれぞれの力を怪物にぶつけているが、効果はイマイチだ。


 月乃矢さんとアイコンタクトをとって駆け出す。作戦は、この前と同じように僕が気を引き、月乃矢さんが強力な攻撃を打ち込む方式だ。


今回は構える矢の本数を増やしてみることにした。一本一本に込める力は少なくなり、威力は下がるが、一度にバラバラに飛んでくる矢の中に本命の一本を紛れ込ませるという作戦にはもってこいだ。


 だがこの怪物は僕の矢は無視し、月乃矢さんの攻撃だけを防いだ。


(なんだか前の怪物との戦闘を見ていたような感じだな……)


一瞬、矢の攻撃が止んだ。その瞬間、怪物の触手が動いた。

地面を低く這うような一撃が月乃矢さんを捉えた。月乃矢さんは吹き飛ばされ、体育館の壁に激突した。だが怪我は軽い。気を失っているだけなようだ。


(良かった。間に合った)

なんとか壁に激突する前にクッションを作り、割り込ませられたようだ。


 だが状況は厳しい。これで戦線に残っているのは僕だけだ。他の生徒も動けていないようだ。

不安定だし負荷が高いから使いたくなかったが、使うしかないようだ。


 入学式までの数日間、練習をしていた。力の多重発動、それを使った滅びの力を纏わせた弓矢の大量創造。僕の弓矢との同期。これを行うことで弓矢の多重攻撃を行えるようになった。

 練習した際には弓一つに矢を複数装填して放とうとしたが、失敗に終わった。


今できる最大限を今ここで放つ。弓一つにつき矢一本で弓は九つ。滅びの力を矢が壊れない限界まで込める。手を上げると弦が引かれる。そして手を振り下ろした。


限界まで滅びが込められた九つの矢が、凄まじい速度で飛翔した。


怪物の体に九つの風穴が空いた。そこから体が消えていき、怪物は消滅した。


 息をつくとめまいがして、息が苦しくなった。心臓が激しく動いている。多分力の多重発動による反動だろう。

前よりも反動は軽く、少し経つとすぐに治まった。


 あたりを見回すと、先生たちはもう体育館の修復を始めていた。

 生徒たちは呆気にとられたように固まっている。

 波乱な入学式だったな。直されていく天井を見上げながらそんなことを考えた。

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