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22. いちゃいちゃ

「さてと片付けも終わったことだし、覚悟はできた?」

「もうとっくにできてるよ」

「それじゃあ早速……」そこで僕は固まった。固まってしまった。

「あれ? どうしたの優樹?」

「大変なことに気がついたよ……」

「な、何?」

「…………いちゃいちゃって、具体的に何をすればいいの……?」

 そう言うと桜も固まった。

「た、確かに……」

「何をすればいいのか知ってる……?」

「し、知らない……」

 これは困った。どうすればいいだろう。


 しばらく考えていると、桜が言った。

「一般的とか気にせずに、私達なりのいちゃいちゃをすればいいんじゃない?」

「そうしよう! まずは何をする?」

「そうだなあ……キスとかどう?」

「いきなりだね……」

「でも…………して、みたくない?」

「うっ……」

 そんなふうに言われるとなぁ…………

「ふふっ。私が優樹のファーストキスを奪ってあげる」

「むしろ奪ってほしいくらいだよ」

「もうっ! 優樹ったら!」

 頬をぷくっと膨らませてぺちぺちと腿を叩いてくる。全然痛くない。


 ぺちぺちと腿を叩くのに夢中になっている隙に顎を持ち上げ唇を重ねる。恥ずかしくてすぐに唇を離してしまったが。

 桜はポカンとしている。そしてだんだんと顔が赤くなっていく。耳まで赤くなって、恥ずかしさからか顔を手で覆った。

「可愛い」

 思わずそうつぶやくと桜の顔がさらに真っ赤になる。

「もう……からかわないでよ……」

「からかってないよ。本当に可愛かったから」

 そう言うとさらに顔を覆い隠してしまった。

「桜?」

 顔を覗き込もうとしたその時、桜が僕の視界を塞いだ。それがキスだったと気づいたときにはもう唇は離れていた。唇を離した桜は真っ赤な顔をしながら、ただ満足したような表情をしていた。

「さっきのお返し。私の気持ちが分かった?」

「…………うん」

 …………危うく唇を奪いたい衝動を抑えられなくなるところだったんだけど。

 ただその衝動は消えたわけではなく、膨れ上がり続けていて、今にも抑えきれなくなりそうだ。

「……ねえ、桜」

「何?」

「もう限界……」

「何が……っ!?」

 衝動のままに桜の唇を塞ぐ。目の前に目を丸くした桜がいる。そして『限界』の意味を分かってくれたのか、僕に身を委ねてくれた。

 息が続く限りお互いの唇を重ね合う。乱れる息を整えながら、何度もお互いを感じ合った。


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