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14. 桜とのお出かけ

 先生との会話の翌日、力は使えば使うほど体への負担が減り、放てる最大出力が上がることが分かった。

 ということで、僕は体に負担がかからないくらいの出力で一週間力を使い続けた。休みなくずっとだ。低出力の滅びの力で自分の体に傷をつけ、それを創造の力で治す。この繰り返し。

 そのおかげで前よりも高い出力の力を負担なく使えるようになった。

 これからもこれを続けていくことにした。


 刀と弓の練習も欠かさず行っているが、あまり上達していない。焦りは禁物、焦ることはしないが、もう少し工夫が必要かもしれないと思っている。例えば新しい技を生み出したりとか。


 ちなみに桜も二刀流と魔法の練習をしていて、よく手合わせをお願いしてくるようになった。最近は桜の姿を見かけないが。

 他の四人はどうしているのか分からない。突然学校が期間未定の休校になり、自主練になったのだ。学校で会う機会はなく、僕がいつも行っている場所にはいない。

 一人になりたいときがあるだろう、みたいな感じでこっちから会いには行っていない。


『明日一緒にお出かけしない?』そう通知が来たのは夕方五時頃だった。

 明日は何も予定がないことを確認して返信した。

『いいよ』

『やったぁ!』

『集合場所と時間はどうする?』

『ん〜それじゃあ十時に宮城の女川駅集合ね』

『えっ、遠くない?』

『大丈夫でしょ。私はもう着いてるし優樹なら一瞬でしょ』

『えーっ』

『私もう寝るからちゃんと集合してね。おやすみ』

『ちょっと!? ひどくない?』そう送ったが既読がつかない。どうやら本当に寝てしまったようだ。

(明日起きたら急いで支度をして一時間前についてやる……)


 次の日いつも通りの時間に起きて支度をして、飛んだ。

 朝九時。予定時刻とぴったりだ。流石に桜はいない……

「あれ? 早いね、優樹。始発で乗って十時着だったはずなのに」

 ……なんで一時間前にいるんだよっ!

「ん~予定より早いけど早速行こうか!」


 案内されたのは近くにある商店街だった。

「ここはね私のふるさとなの」

「そうなんだ。だからここに来てたんだね」

「うん。私は優樹にここのことを知ってほしいの」


 周りを見ると、真新しい建物が並ぶ場所と壊れた建物が建っている場所があった。


「なんで壊れてるところがあるの?」

「昔ここで怪物が暴れたことがあって。ある人が倒してくれたんだけど、街への被害が大きかったの。それがまだ残っているの……」


 彼女は一瞬悲しそうに目を伏せたが、すぐに顔を上げて言った。


「前にも大変なときがあったんだけど、それでもみんなこの街を復興させようと頑張っているの」

「すごいな……」


「ねえ、その怪物を倒した人ってどうなったの?」

 そう聞いたとき、桜が泣きそうな顔をした。「話さなくても大丈夫だか……」

「その人は、死んじゃったの」

 そう言った彼女の声は、苦しさや悲しさ、色々な感情を無理矢理抑え込んだような声だった。

 沈黙が場を支配する。


「……ねえ。昔話をするからよく聞いて」

 沈黙を破って、桜は決意した顔で言った。

「私を救ってくれた、あの人の話を」

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