13. これからへの決意
この世界に帰ってきたあと、先生が色々と聞いてきた。今までどこに行っていたのか、何をしていたのか。それに答えるとこれまでの状況を説明された、のだが……
(なんで異世界だと言わずに仮想世界だと言っていたんだ?)
僕達が行った世界については何も説明されず、質問しても何も答えてくれなかった。
(とりあえず、僕の中のこの学校への信頼はガタ落ちした。今後は信用はせずに利用していくことにしよう)
みんなもあの世界については何も答えてくれなかったらしい。
いつもは明るい僕達だが、今は暗い。それぞれが不安、葛藤、悩みを抱えているんだろう。
その時、誰かのつぶやきが聞こえた。
「……俺達はこの学園の大きな秘密を知ってしまったんじゃないか?」
「これからどうすればいいの……」
僕はチラリと桜を見た。桜は今のみんなのような暗い表情ではなく、明るい表情をしていた。もう何をしていくか決めているようだ。
僕ははっきりと宣言した。
「僕は力をつける。何があっても、桜を守れるように」
「私は力をつける。優樹を守りたいから」
「桜……」
「優樹……」
僕のことを思ってくれていたなんて。僕は幸せ者だな……
「ちょっとお二人さん。二人の世界に入らないでもらえますかね。こっちが気まずくなる」
ハッとしてみんなを見ると、目をそらしていた。
「……それでみんなはどうするんだ?」恥ずかしさをこらえてそう聞いた。
「俺は力をつける。生き残るためにな」と日ノ守君。
「私は好きな人を守れるように頑張る」と星野さん。
「お前に好きな人いたのか」
「……うるさい」
「俺も好きな人がいるんだ。これから告白するんだけど、そういう俺が守りたいって思える人を守れるように力をつける」と井ノ本君。
「私も好きな人がいて……その人を……守りたいなって……」と歌倉さん。
「まじかよ。好きな人関連じゃないの俺だけじゃん!!!」
みんなが笑った。もうさっきのような雰囲気はない。
「さて、それじゃあ早速特訓に行こう!!」
『おぉー!』
「別れが来るかもしれないな……」
悲しい未来を予感して、そうつぶやいた。