12. 脱出
地響きを立てて降り立ったのは、巨大なドラゴンとそれよりも一回り小さいドラゴンの群れだった。
(ドラゴン……大きいのはリーダーか? とにかく戦闘になったら他の三人は終わりだ。もしかしたら僕も……)
その時、リーダーらしきドラゴンが声を発した。
「膨大なエネルギーの反応があったのはこのあたりだ。見落としなく探せ」ドラゴンが発したのは僕らと同じ言語だった。まさかドラゴンが日本語を話すとは……
こうしている場合ではない。出来るだけ早く元の世界に戻る方法を……
その時だった。
「グアァァァァァァァ!!!」
突如としてドラゴンの雄叫びが上がった。
(まずいっ! 見つかった!)
「逃げるぞ!」
そう言うとみんなが駆け出す。
ドラゴンも僕らに気づき、追いかけてくる。
「まずいぞ優樹! すぐに追いつかれる!」
「分かってる!」
どうすれば良い? 元の世界が道を繋げるとは思わない。もし繋げたとしてもどこに開くか分からないから僕らは戻れる可能性は低い。繋いだ穴から怪物が出てきたら最悪だ。
僕達が元の世界に帰るには僕達が繋げるしかない。だがどうすれば……
方法が思い浮かばず走り続けていると歌倉さんが言った。
「こ、この先行き止まりだけど、ど、どうするのっ」
こうなったらここが異世界であると信じてやるしかない!
「みんな。賭けになるけど、僕を信じてくれるか?」
一瞬ポカンとしたがみんながすぐに頷く。
「当たり前だ!」
「信じてるさ」
「私も信じてるよ」
「頑張ってください!」
「私はいつも信じてるよ、優樹」
刀を抜き、力を溜める。
「斬ったらすぐに飛び込め!」
そう言って刀を構えた。
「ハァッ!」
刃が空間を切り裂いていく。僕らはその裂け目に飛び込んだ。
たどり着いたのは見慣れた校舎の中だった。
空間の裂け目はどんどん小さくなっていき、やがて完全に消えた。
周りには何事だと集まる生徒がいた。そして先生も駆けつけてきた。
(なんとか戻ってこれたけど、これからも大変そうだな……)
と思った。