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番外編:異世界失恋猫吸い事件

イザーラン首都、某酒場にて


ム「……おい」

ミ「うあああ」

ム「おめー、さっきからなんなんだにゃ! あーしの腹から離れろ!」

ミ「うあああ……うあああー」

ム「あーもう、ガキが……さっきの空気的に失恋したにゃ?」

ミ「うおおうああぅ…………違う」

ム「急に冷静になるにゃ」

ミ「私が振った」

ム「だったらなんでさっきから奇声上げて悶え苦しんでるだにゃ」

ミ「ムニャ子にはわからない」

ム「ああ!?」

ミ「わかるわけない……うがあああああ」

ム「……おめー、他の連中の前で猫かぶり過ぎだろにゃ」

ミ「矛盾を感じる……うぅ……」


ム「ガキの恋愛なんてどーせすぐ忘れると思うがにゃ」

ミ「ちっ」

ム「今、舌打ちしたにゃ?」

ミ「ムニャ子の恋愛経験もたかが知れてる」

ム「直球で喧嘩売りに来るにゃ……しかもさっきからおめーまでそのあだ名を」

ミ「雰囲気でわかる」

ム「何言ってんだにゃ。あーしだって故郷じゃ恋人の一人や二人」

ミ「匂いでわかる」

ム「……適当言うんじゃねーにゃ」

ミ「今の間でわかる」

ム「…………」

ミ「ふっ」

ム「くっそムカつくにゃこいつ……」

ミ「…………」

ム「無言で腹に顔をうずめようとするにゃ!」


ミ「ふー……」

ム「いい加減落ち着いたかにゃ?」

ミ「うん。猫の匂い、好き」

ム「猫じゃねえにゃ」

ミ「その語尾で?」

ム「あん? 獣人差別する気にゃ?」

ミ「……ごめんなさい」

ム「わかりゃいいにゃ。二度とあーしの腹に顔突っ込むにゃよ」

ミ「それはする」

ム「その情熱はなんなんだにゃ……」

ミ「あったかいし。落ち着くし。いい匂いする。別に性的な目では見てないから」

ム「最後の一言でかえって不安になるにゃ」

ミ「友達を思い出すんだよ」

ム「獣人の友達がいたのにゃ?」

ミ「……うん。まぁ、そんな感じ」

ム「あーもう、鬱陶しいにゃ……5秒だけだにゃ」


ヘ「あのー……」

ム「ヘルガ? 何しに来たにゃ」

ヘ「差し入れです。練習されているって聞いたので」

ミ「……クッキー」

ム「うまそーだにゃ」

ヘ「えへへ……本当は、ちょっと寂しかったんです。練習がないと、家にいても落ち着かなくて……」

ミ「いい子だね、ヘルガは」

ム「ほんとだにゃ。あーしらとは大違いだにゃ」

ヘ「えっ!? いえ、そんな……」

ミ「いい子すぎてちょっとつねりたくなる」

へ「えっ!?」

ム「わからんでもないにゃ」

へ「えっ!? ちょっ……ふにゅっ」

ミ「ごめん」

ヘ「謝るならやらないでください! というかミリエラちゃん、年下なのに……」

ム「ナメられやすい奴だにゃー」

ミ「ヘルガ、イライラした時はムニャ子の腹に顔をうずめるといいよ」

ヘ「いいんですか、アムニャールさん!?」

ム「いいわけねーだろにゃ! 何興味持ってんだにゃ!」

ミ「いいよ」

ム「おめーが決めんにゃ!」


ヘ「ふふっ……」

ミ「何笑ってるの」

ヘ「いえ、なんだか……友達がたくさんできて嬉しいなって」

ム「別に友達じゃねーにゃ」

ヘ「えっ……ご、ごめんなさい。わたし、思い上がって……」

ミ「ムニャ子。この子そういうツンデレ通じる子じゃないよ」

ム「ツンデ……? 何語だにゃ」

ミ「いいから、素直に言う」

ム「……ちっ。あーしが言いたいのはにゃ、友達じゃなくて、こう……アレだろにゃ」

ヘ「アレ……?」

ミ「仲間」

ム「そんな感じにゃ」

ヘ「……!!」

ミ「あの子……キャスリーンがいつも言ってるじゃん、私たちは『バンド』だってさ。意味わかんないと思うけど」

ム「楽団みたいな意味じゃねーのにゃ?」

ミ「そんな感じ。でも、もっと近い関係。人数少ないしさ」

ヘ「バンド……わたしたちはバンド仲間なんですね」

ミ「そ」

ム「……ま、大会まではにゃ」

ヘ「アムニャールさんは照れ屋さんなんですね」

ム「うっせーにゃ」

ミ「照れ屋さんなんですね」

ム「うっせーにゃ!!」


ム「ところでこのクッキーまずいにゃ」

ミ「クソまずいね」

へ「ええ……!?」


(おわり)

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