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第96話 魔物討伐へ向かいます

 朝、目が覚めると隣に寝ていたアレックス様はいなくなっていた。夜、優しく抱きしめられながら眠ったので、隣にいないのはちょっと寂しく思った。支度を終えてテントを出ると、マックス様が通りかかった。

「おはよう、フィーネちゃん。昨日は団長といたんだよね。何かあった?」

「ええっと、昨日は不安だったので、一緒に寝てもらいました…子供っぽいことをしてしまいました」

「寝た…いや、子供っぽいってことは、もしかして添い寝してもらったってこと?」

 頷くと、マックス様は額に手を当てて、息を吐きだした。

「なるほど、それで揶揄った団員が氷柱になりかけたんだな…まあ、こんなところでしないよな…」

「何のことですか?」

「いや、こっちの話だよ。ストレス発散の相手は、魔物に任せよう、うん、それがいいな…」

 何やらブツブツと呟きながら、マックス様は本部テントの方へ行ってしまった。

「なんだったのかな?」

『フィーネは気にせんでええで。朝飯食べたいから、食堂用のテント行くで』

「はいはい、チルチルは元気だね~」

『ちゃんと食べとかな、聖女の森に入ったら出てくるまで食べられへんで。フィーネもちゃんと食べとくんやで』

「うん、ちゃんと食べるよ。足手まといにはなりたくないからね」

 2年生になったら実戦形式で戦い方の授業があるらしいが、1年生の私は実戦経験なんてもちろんない。私の役目は石碑の呪いを解き、新しく清浄魔法をかけることだが、石碑にたどり着くまでに当然魔物がいるのだ。未経験の私には、せめて足手まといにならないように、必死で足を進めるしかないのだ。


 食堂用のテントには、ほとんど人がいなかった。皆早めに食事を終え、出発のための準備に追われているようだ。私は、必要なものはポーチに収めているので、準備は出来ている。

「おはよう、聖女フィーネ。今日は気合の入るメニューにしたわよ。朝からお肉沢山作ったからね~」

 そう言って、お肉とパンの乗ったトレーを差し出したのは魔法使いで料理人のクックさんとパディさんだ。彼らは流石に戦闘には加わらないようで、ここで待機するそうだ。

「沢山食べて、頑張ってね。チルチルちゃんのも用意するから、ここに座って待ててね」

 二人とも筋肉質で厳つい男性なのだが、見た目に反してとても優しい人たちだった。チルチルもすっかり餌付けされ仲良しになっていた。

「気をつけて行ってきてね。帰ってきたら、また美味しいご飯作るから、絶対よ」

「はい、頑張って帰ってきます」

 しっかりお腹を満たして、準備万端整った。

 聖女の森までは馬で進む予定だが、魔物に怯えて進めない場合は徒歩になる。転移魔法も聖女の森では上手く出来ない。理由はわかっていないが昔からそうなのだ。


「フィーネ、準備が整った。今から出発する」

「はい、わかりました」

「全軍、聖女の森へ向けて進め!」

 アレックス様の号令で、馬に乗った騎士たちが一斉に馬を駆けさせた。半刻走ると聖女の森が見えてきた。手前にイーサン様率いる辺境伯軍が待っていた。ざっと50名ほどだ。

「アレックス団長、ここからは我々が先導させていただきます。馬はほとんどここから動けないでしょう。徒歩で進みますがいいでしょうか?」


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