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第72話 占い部に来ました

「あ、あった、ここよ。占いの館って書いてある。今日は部内を開放して、一人一回無料で占ってくれるのよ。朝に二人分予約を入れてあるからね。さあ、入りましょう」

 占いというと、薄暗く怪しい雰囲気という想像をしていた。扉を開けて中に入ると、普通の部屋だった。いくつかの仕切りがされた中に机と椅子が置いてあり、プライベートは防音魔法で保護しているそうだ。

「あら、あなた、スミス子爵家のフィーネ様。お久しぶりですわ。あの後どうなったか心配していたのよ」

「キャンベル先輩、占い部だったのですね。その節はお世話になりました。お陰様で乙女の涙がここに。なので今のところ大丈夫です」

 私は頭の上のチルチルを見るような仕草をした。キャンベル先輩が頭の上を見た。

「まあ、この子が乙女の涙なの?変わった生き物、鳥?かしら」

「そうです、鳥です!チルチルは精霊です、これは内緒ですが。占ってしまったら正体がわかると思うので、初めに言っておきます」

「わかりましたわ。内緒ですね。ところでここに来るということは、今日は」

「はい、気になることがあって占いをしてもらいに」

「希望の方はいらして?今の時間は誰でもみてくれるわよ」

 私はリリーを見た。

「私は2年生の炎占いのリドル先輩に興味があって、今日は来られていますか?」

「ええ、来ているわね。どうぞ一番奥の仕切りよ」

「ありがとうございます。じゃあ後でね、フィーネ」

「それでフィーネ様は?もし希望がなければ私でもいいかしら?」

「あ、はい、お願いいたします」

 キャンベル先輩は手前の仕切りの中へ入ったので、後に続いて入った。中には大きな器に入った水を乗せたテーブル、椅子が向かい合う形で置かれていた。

「どうぞ、そちらにかけてね。それで、今日は何を占うのかしら?」

「あの、最近悪夢を見るのです。それもほぼ毎日同じ内容で、最近は怖くてなかなか寝付けません」

「そう、それは大変ね。夢にも色々な種類があるのよ。願望だったり、恐怖だったり、それと予知だったりすることもあるわ。そうね、夢の内容を思い浮かべながら水の中に手を入れてくれるかしら、一度見せてもらうわ」

 私はゆっくりとテーブルの上にある水の中に手を入れた。同じように手を入れたキャンベル先輩に伝わる様に、悪夢を思い出す。昨日も森の中から魔物が出てくる夢を見た。何人もの人が襲われて殺された……

「まあ、これは……そんなことが起こるの……」

 キャンベル先輩は、目を閉じたまま呟いた。夢の内容が上手く伝わるといいのだけれど、かなり残酷な光景だったから見せてしまって申し訳ない。

「これは、予知夢かもしれないわ……夢にしては鮮明すぎる」

 キャンベル先輩が目を開けてそう言った。予知夢とは?

「未来に起こることを夢で見る。そうだとすれば、大昔の魔物が大量に発生した時代にまた戻ることになるわね」

 チルチルが頭の上で、びくりと翼を動かした。どうやら起きたようだ。さっきまでぐっすり寝ていた。

『なんや、物騒な事ゆうてるやんか、何の話やねん』

「おはよう、チルチル。夢の話だよ。最近森の中で魔物が生まれる夢をよく見るんだよね……」

『森の中で魔物が生まれる、それ、正解やな。それを知らんフィーネが夢で見るんやったら、何か起こる予兆か?』

「はっきりとはわからないと思いますが、占ってもいいでしょうか?」

「はい、お願いします。これが未来ならどうにかしないと……」


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