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第50話 青い鳥、チルチル

 セイ様が、青い物体を指さしてそう言った。私の手の平に乗っていたヒヨコっぽいものが、すくっと立つとセイ様に向かって突然飛び蹴りをした。

『誰がヒヨコや!わいは可愛い可愛い小鳥さんや!!』

 飛び蹴りはセイ様の左頬へ見事にめり込んだ。グキッと首が変な方へ曲がった気がしたので、私は慌ててセイ様に近寄り癒しの光を使った。涙目のセイ様が同意を求めてミラ様を見た。口には出さないが、ヒヨコだよね??小鳥って嘘だよね?と言いたそうな顔だ。ミラ様は微笑んでヒヨコに近寄った。

「あなたが精霊のチルチル様ですか?」

 え??という声は寸でのところで飲み込んだ。これが精霊??

『なんや、わいのこと知ってるんか?』

「噂程度ですが。初代聖女に力を貸した偉大な精霊だと聞いております」

 ミラ様は、飛び蹴りを避けるためか、慎重に言葉を選んで話しているようだ。セイ様が裏切り者~と言いたそうな顔でミラ様を見ているが、完全に無視されている。

『そや、偉大な精霊様やで。サキが死んでからずっと宝石の中にいたんや。めっちゃ寝てたわ』

 ヒヨコは肩をコキコキとならすような仕草をしたが、肩がどこかわからないので多分そうだと思う。それにしても変な言葉遣いの精霊だ。どこかの地方の方言だろうか?

「そうですか、それでこれからはどうされるのですか?出来れば宝石に戻るか、今世の聖女に力を貸していただきたいのですが……」

 ミラ様が丁寧にチルチルに今後のことを聞いた。……そうだ、このままチルチルがいなくなってしまったら、魂が欠けた私は死んでしまうのだ……ミラ様もまさか検証が成功するとは思ってなかったのか、内心焦っている様子だ。

『今世の聖女?この子がそうなんか?何や魂が欠けてるやんか。死んでまうで』

「そうなのです。不幸な事故がありまして、どうか偉大な精霊様のお力を貸していただけないでしょうか?」

『不幸な事故、そりゃ可哀そうやな……まかしとき、今世の聖女なんやったら助けるのが筋や』

 ドンと胸をたたいてチルチルが了承した。すると突然、チルチルと私の間に赤い光が結ばれた。

「言質はいただきましたので、これで契約成立ですわ」

 そう言ってミラ様はにっこり微笑んだ。

『契約の赤い糸、契約魔法やないか。最初からこれを狙ってたんか??自分性格悪いな』

「お許しください、チルチル様。可愛い孫のお嫁さんになる子なのです。より確実に守ってやりたいじゃないですか。私がいない間に、チルチル様が目覚めてどこかに行ってしまえば、この子は死んでしまいます。より確実な方法をとりたかったのです。それにこの子はとっても良い子です。精霊にとって清い心は何よりの居場所ではないですか?」

『……しゃあないな。今回だけやで。次やったら覚悟しいや。それに……』

 チルチルは私の頭に飛び乗ると、髪の中へ半身を埋めた。

『ちょうどええやん。この子の髪色、わいと一緒やから居心地ええわ』

「え??ずっと髪の中に埋もれているの??」

『まあ、細かいことは気にせんとき。そや、名前なんていうんや?』

「あ、フィーネです」

『よっしゃ、フィーネ。これからよろしゅう頼んます。じゃ、寝るわ』

 そういうと、髪の中でスヤスヤと眠りだした。

「ミラ様、これ、どういうことですか??説明してください!!」


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