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第3話 王都に引っ越しました

 引っ越しの荷造りを終えて、手配した馬車に揺られること3時間、やっと王都に着いた。馬だと2時間だが馬車はゆっくり行くため、さらに時間がかかるのだ。


「うわ~お母さん、すごいよ。人がいっぱいだ。建物も大きいよ。見て」

 弟のロンが興奮した様子で、馬車の窓から王都の景色を見ている。私も王都は初めてだ。そう、初めてのはずなのに、どこか見覚えがあるような懐かしい景色だと思ってしまい困惑していた。

「どこに向かっているの?お母さん」

「それが……アルダール公爵家の所有している家を格安で借りることになっているの。初めはお断りしたんだけど、フィーネの後見をしていただけることになったスコット侯爵様からも是非にと言われてしまって、断れなかったの。格安は正直助かるしね」

「スコット侯爵はお父さんの上司にあたるんだっけ。それは断れないね。格安も魅力的だ」

 軍事関係の大臣をしているというスコット侯爵様が、王都にあるトルカーナ魔法学園に入るための推薦状を書いてくれたと言っていた。父の上司でもあり、そしてアルダール公爵家とスコット侯爵家は親戚だという。

「スコット侯爵家……?なんだろう、知っている気がするんだよね」

「どうしたの、フィーネ?もうすぐ着くわよ」

「うん、何でもない。どんなところか楽しみだね」


 王都の中心地から少し外れた場所にその家はあった。家族4人で住むにはかなり広い3階建ての家だった。広い庭まであるその家の家賃が、村で住んでいた家と同じ価格だと聞いた時は、耳を疑ってもう一度聞いたぐらいだ。格安なんてもんじゃないと思う。

「それで、お父さんはいつ来るの?引っ越しの荷物は転送魔法で送ってもらえたから、あとはどの部屋に住んだらいいかだよね。部屋が多すぎてどこに住んだらいいか迷うよ」

「そうね、さすがに部屋が多いわね。3階部分は使わずに、2階部分まで使わせてもらいましょう。掃除も大変そうだし、とりあえず中を確認してから決めましょうか。先にアルダール公爵家から、管理されている方が来ると聞いているのよ」

「あっアレックス様だ」

 弟のロンが走っていった。玄関の手前で立っている人物が手を振っている。アレックス様だ。

「アレックス様、わざわざお越しいただき申し訳ございません。もしや、管理されている方というのは?」

「気を使わないでください、ランドレ夫人。この家はたまたま私の私財で所有していたものの一つで、誰も使用していなかったのです。空き家にしているより、住んでいただけて助かっています。家賃も必要な……」

「いえ、そこは払わせていただきます!格安すぎて申し訳ないのですが、ありがたく使わせていただきます」

 母は、支払いに関してはタダより怖いものはない、あとで何を言われても少しでも払っていれば、弱みにはならない。と、常日頃から言っている。昔何かあったのだと、父と二人で探っているが、いまだに謎だった。

「アレックス様、お久しぶりです。素敵なお家を紹介していただきありがとうございます。それと、このドレスも贈ってもらって、誕生日の贈り物や制服まですみません。私の我儘で、女学園の制服をキャンセルさせてしまって、本当にごめんなさい」

「フィーネ、そのドレスとても似合っているよ。少し見ないうちにまた綺麗になったね」

 少し頬を染めて、アレックス様が微笑んだ。眩しい笑顔にこちらの方がドキドキする。

「私が先走って、フィーネの意志を聞いていなかったのがいけないのだから、制服のことは気にしなくていいよ」

「ありがとうございます。魔法学園に通えるなんて夢みたいです」


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