表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
39/213

第38話 15年前の真相

 離宮は派手な王宮とは違い、落ち着いた雰囲気だった。緑が多く、昼間に来ればピクニックが出来そうだ。今は夜で、人影も少なくひっそりとしている。

 執事に連れられて、離宮の奥の間へ通された。どっしりと重厚なドアを開けるとアルダール公爵様が迎え入れてくれた。奥のベッドに背を預けてこちらを見ているのが、アレクセイ前陛下だろう。確かにアレックス様に似ていた。アレックス様が歳をとれば、アルダール公爵様のようになって、アレクセイ前陛下のような老人になるのだろう。

「お爺様、急な訪問をお許しくださりありがとうございます。お加減はいかがですか?」

「ああ、今日は体調がいいよ。アーサーが来て、アレックスまで来るとは、何かあったのかい?」

 にこにこと微笑まれるアレクセイ前陛下は、病気のせいで少し瘦せているけど、しっかりと話されている。

 アレックス様が用件を告げようとすると、ミラーリア様がずいっと前に出て帽子を取った。

「ミラ……⁈」

 驚きすぎたのか、アレクセイ前陛下は胸を押さえて苦しそうに蹲った。

「な、なにをしているんだ!殺す気か⁈……フィーネ、すまない、癒せるか?」

「あ、はい、任せてください」

 私はアレクセイ前陛下の胸に手を当てると、治癒魔法を使った。

前陛下は心臓が悪いようだ……鼓動が弱い……私はゆっくりと癒しの力を使った。急に癒すと体がびっくりしてしまうと思ったのだ。

「君は聖女なのか?」

 少し楽になったのか、アレクセイ前陛下が驚いた様子で尋ねられた。私は癒しながら頷いた。

「彼女はフィーネといいます。私の婚約者ですよ、お爺様」

「そうか、君がフィーネか。聖女だとは聞いていなかったが……アレックスの策略か?」

「否定はしません。どうしても彼女を渡したくなかったのです。お許しください」

「ああ、好き合っている恋人を引き裂く真似はしないと誓おう」

「へえ、そうなんだ、てっきり引き裂くと思ったわ」

 少し低い声で、ミラーリア様が呟いた。アレクセイ前陛下がピシリと固まった。

「まだ白昼夢が続いて……いや、今は夜か、夢??それとも死んだのか、私は……」

「何、寝ぼけたこと言ってんの?もうボケたの?」

「ミラーリア?でも君は死んでしまったと……崖から落ちたと聞いたんだ。私が渡した宝石と共に4歳のアーサーが保護されたと……」

「それで、信じたと?」

「ああ、信頼できる宰相がそう言ったんだ。その時の騎士団長もそう証言していた。イザベラが……」

 そこで、アレクセイ前陛下が考え込んでしまった。

「あなたって本当に騙されやすい人ね。お人好しもここまで来ると馬鹿よ。よく国を治められたわね。あなたなら、フィオリーナとアレックスを襲わせた犯人に心当たりがあると思ってここに来たのだけど、少し買いかぶり過ぎたかしら?」

「……まさか、いや、でも……」

 アレクセイ前陛下がどんどん青ざめていった。アルダール公爵様とアレックス様も思い当たることがあるようだ。暫く皆無言だった。沈黙を破ったのはアレックス様だった。

「お爺様、黒幕に心当たりがあるのですね。私も今なら真実がわかった気がする。でも、詳しいことはやはりお爺様が一番わかると思う。教えてくれませんか、どうして私たちが襲われたのか」


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ