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第32話 勝敗の行方

 あれから学園の先生たちによって、生徒はほぼ帰宅、もしくは寮へ避難が完了した。今は、駆け付けた魔法騎士団がアレックス様と先生を囲うように防護壁と転移魔法無効の魔法陣を使って包囲網をはっているようだ。


「ずるいっ多勢に無勢で、か弱い女性になんて仕打ち!!消えろ!クソガキ!」

 そう言って、先生は燃え盛る炎の刃をアレックス様に向かって放つ。

「はあ、どこがか弱いんだ、このクソババア!炎の刃とか危ないだろ!!」

「はあ、あんたこそさっきの雷の雨とか、危ないんだからね!!」

 最早二人に近づけるものはいなかった。下手に近づけば消し炭になってしまう。

「そろそろ諦めてはいかがか?不老の禁術といっても、かなりのお歳なのだろう」

「まあ、女性に歳のことを言うなんて、失礼よ!!」

 そう言いながら、岩を浴びせかける。でも先生の魔術は先ほどからどんどん魔力が落ちている気がする。やはり疲れが出ているのだろう。

「本当にあなたが西の魔女なのか?失礼だが、聞いていたほどの実力はないだろう」

「黙れ、この天才小僧!あんたみたいに私は元々優れているわけではないわ!勝手に悪女だから、魔女だからと最強、最悪の虚像を作ったのはそっちだからね。これでもかなり努力して強くなったんだからね」

「ああ、それはそうだ。だから誰も近づけない。それに元は普通の魔導士だと聞いた。それが何故魔女になんて」

 先生は風を暴風に変えてアレックス様へ放った。

「はあ?聞いてないの?あんたのとこのくそジジイが私に何をしたか」

「ああ、最近お爺様に会いに行った。手掛かりが少しでもあればと思って。あなたも最近来たと言っていたが」

「ああ、そうね。死にかけているっていうから、笑ってやろうと思って行ったわ。せっかく不老にしてやるって言ったのに、亡くなった妻の元に行きたいからいいって言ったのよ。ほんと腹の立つ爺になったわよ」

 先生は悲しそうにそう言った。前陛下の愛人だとサミエル大神官長様は言っていた。でも、今の口ぶりは愛人というよりは恋人のようだ。

「お爺様のところで、あなたの肖像画を見た。今と変わらない姿だったので、あなたが西の魔女だと確信した」

「へえ、まだ持っていたんだ。隣にあなたそっくりのアレクセイが描かれているやつよね。少しは罪悪感でも持っているのかしらねぇ?」

「さあ、そこはわからないが、少なくとも孫娘を殺した相手とやり直したいとは思わないだろうな……」

「ああ、そうだった。本当はあなたを殺すはずだったのよ。先に魔法が使えるガキから殺すように言っておいたのに、小さな聖女を刺すから、あなたに反撃されて逃げたのよね?ほんと役に立たない男だったわ」

 アレックス様の魔力が急速に上がったのがわかった。怒り、悲しみが抑えていた魔力を解放したのだろう。マックス様が焦ったように防護壁を強化していく。

「フィーネちゃん、僕の後ろに隠れて!全力で守るけど、団長がこのまま暴走したら、ちょっとまずいかも……」

「はい、アレックス様大丈夫でしょうか……」

 今はグッと耐えている状態だ。でも、先ほどから胸が苦しい、フィオリーナの魂がぎゅっとなる。何かを訴えているようだ。アレックス様が怒りを押さえながら聞いた。

「お前が犯人なのか?」

「ええ、そうよ」

 先生は微笑んでそう言った。けれどフィオリーナの魂が違うと言っている気がした。アレックス様が魔力を解放して、最大級の魔法を展開しようとした。このままだと先生は死んでしまう……私は思わずマックス様の後ろから飛び出して二人の間に立った。


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