表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
32/213

第31話 西の魔女

「それでは、皆さんそれぞれの属性魔法を的に向かって打ってください。十分気をつけて」

 先生の指示で各自、的に向かって攻撃魔法を放つ。私の水魔法は真っ直ぐ飛んで的に当たった。

「上手です、フィーネ。私の火はそこまでまっすぐ飛びません」

 リリーの火は、最初は真っ直ぐ飛ぶのに、途中で曲がってしまうようだ。それはそれで面白い魔法だと思う。

「水魔法は小さい頃から使っていたから、ある程度できるけど、風魔法は全くうまくいかないよ……」

 発動までは出来たが、風を操る方法が全く分からない。

「風魔法はチャーリーに聞けばコツを教えてくれるわ」

「そうか、チャーリー得意だもんね」

 少し離れたところにいたチャーリーに声をかけようとしたその時、隣で大きな風が巻き起こった。その場にいた生徒の制服が巻き上がるほどの暴風だ。先生が慌てて非難を呼び掛けた。

「あら、少し派手な登場になってしまったわ」

 隣から聞いたことのある声がした。

「ミラーリア・ジョシュア先生……」

「あら、私の授業を受けていた子ね……そう、あなたが」

 そう言って先生は私の腕を掴んだ。突然のことに驚きすぎて声も出なかった。掴まれた腕が痛い。

「ねえ、死んで欲しいんだけど、あなたにも加護があるのね……魔法は通じない……そう、面倒だけど直接的に殺さないとね」

 そう言って、先生は私を押し倒すと首に手をかけた。

「……あ……」

 何が起こったか把握する暇もなく、ギリギリと首を絞められる。周りの生徒や先生は、こちらに来ようとしているようだが、何か視えない壁に阻まれてこちらに来られないようだ。締め上げられて視界がぐらぐら揺れてきた。だめだ、このままでは……

「……あ、あ」

 その時、先生の首から青い宝石のついたペンダントがこぼれ落ちた。丁度私の目の前にぶら下がっている。私はもがいてそのペンダントを引きちぎった。

 突然ドンッと大きな振動がきた。前を見ると上に乗っていた先生が吹き飛んでいた。急に肺に入ってくる空気にむせていると、背中に大きな手が当てられた。

「大丈夫か、フィーネ。遅れてすまない」

「……アレ、ク、……ス、さ、ま……」

「ちょっとだけ、待っていて。すぐに終わらせるから」

 そう言うと、ミラーリア・ジョシュア先生に向かって攻撃を仕掛ける。マックス様と先生は防護壁を展開しつつ、生徒を避難誘導しているようだ。

「フィーネ、大丈夫?歩けなさそうだから、チャーリーに運んでもらいましょう!!」

 チャーリーが背中を向けたので、私はその背中につかまった。

「走るよ!揺れるから喋らないでくれ。リリーも急いで」

 3人でマックス様がいる方へ走った。アレックス様は私たちの方へ魔法が来ないように、魔法で防護壁を作りながら戦っているようだ。早く非難して負担をなくさないと……

「フィーネちゃん、大丈夫かい?突然で驚いているよね。実は僕も驚いているんだ。展開が早すぎて混乱するよ」

 そんなことを言いながらもマックス様は、生徒全体を覆うように完璧に防御している。さすが副団長だ。アレックス様はミラーリア・ジョシュア先生と一進一退の魔法攻撃を繰り返している。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ