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第28話 気になる人物

「あ、少し気になる人物がいるんです。魔法薬の女性の先生なのですが……」

「魔法薬の教師か……確かに薬草も使うな。女性、占いとは合っている」

「はい、ノア先輩に聞いたのですが、今年からこの学園に赴任したようです。それと、その先生とすれ違った時や、授業中にとても嫌な感じがしたんです。魂がぎゅっとなるような感じで……怖いんです」

 アレックス様がゆっくり私を引き寄せた。胸に耳を当てると、アレックス様の心音が心地良くて落ち着いた。

「もしかしたら魂が何かを感じているのかもしれない、その教師のことはこちらで調べてみよう。フィーネは出来るだけ近寄らないようにしてくれ」

「はい、そうします」


 それから4日後、学園で事件が起こった。数名の生徒が突然暴れだしたのだ。偶然、騎士団として講習に来ていたマックス様たちが、教師と共にその場を制圧した為大事には至らなかったが、暴れだした生徒は無作為に魔法で生徒を攻撃してきたらしい。

 ちょうど授業の調べものがあって、リリーとチャーリーと私は図書室にいたので無事だったが、現場となった魔術試験場にいた生徒は怪我をした者もいたようだ。医務室の先生や、光魔法が得意な先輩が率先して治療にあたったため、すぐに回復したので大きな混乱はなかったそうだ。魔術試験場は魔法の実践をする場所で、すべての塀に結界が張られていて、試験場の外に魔法が飛んで行かないようになっていたのも、被害が少なかった要因だと聞いた。

 報告を受けて、アレックス様も学園に調査に来たようだ。先ほど全て終わって、一緒に帰宅した。

「マックス様や騎士団の方がいてくれて、本当に良かったですね。先生方も魔法は得意ですが、暴れている生徒を制圧することなんて、普段行わないので助かったと言っていたそうですよ」

「そうか、偶然とはいえ、その場に居合わせて良かった。フィーネたちは離れた場所にいて、現場は見ていないんだな?」

「はい、図書室にいたので騒ぎに気がついた時には、ほとんどのことが終わったあとでした。後で聞いた話によると、暴れた生徒は何も覚えていなかったそうですね」

「そうだ、王都で起こっている事件と状況が酷似している。きっと犯人が同一、もしくはグループなのか……いまだに犯人の情報があまりないんだ」

「あの、王都の事件の方はわかりませんが、学園で起こった事件の方は共通点があるんです。大したことではないのですが……」

 アレックス様たちが調査している間、リリーと暴れた生徒のことを話していた。調査が終わるまで、学園内に待機を言い渡されていたため、みんな暇だったのか、いろいろなところから情報がまわってきたのだ。暴れた生徒の名前もまわってきた。全部で4人、すべて知っている人間だった。

「いや、些細な事でも今は知りたい。教えてくれるかい?」

「はい、4人とも魔法薬の授業を受けている人でした。特に熱心に先生の授業を受けていて、情報によると放課後も先生の部屋に質問に行くような生徒ばかりでした」

「情報、とは」

「ああ、みんな待機時間を持て余したのか、暴れた生徒の情報や、最近の行動がいろんなところから通信魔法で飛んできたのです」

「なるほど、最近の生徒は通信魔法をそんな風に利用するのだな……それにしても、魔法薬の授業を受けている生徒ばかりとは」

「リリーと言っていたのですが、その生徒たちの目的は、惚れ薬だったのではないかと」


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