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第27話 可愛い先輩です

「そうか、それは団の者が迷惑をかけた。ところで君はフィーネの、なんだ?」

「ええっと、アレックス様。ノア先輩はノア先輩です。それ以上でもそれ以下でもないです」

 ノア先輩も何が起こっているのかわかっていない。何も言わずにこちらを見ている。リリーは呆れ顔だ……

「そうか、ただの先輩なんだな。そうだな、こんなに可愛いならそういう対象にはならないか……」

「はあ?何を言っているんですか?俺は可愛いなんていりません。フィーネがいいなら俺はかまわないぞ」

「ノア先輩?」

「ノア・ダントン。残念だがフィーネは俺の婚約者だ。手を出したら燃やすぞ」

「はあ??婚約者?だってフィーネは14歳だろ……アレックス団長は、確か俺の7こ上……ってことは9歳上」

「……それぐらいの年の差の夫婦はいるだろう?おかしくない、おかしくないからなフィーネ」

 何だろう、よくわからない展開になってきた。どうしてノア先輩とアレックス様が言い合っているのだろう?少なくない人たちが遠巻きにこちらを見ている。注目を浴びるのは困る。先ほど威圧された人を見ていたのか、こちらに殺気を向ける人はいないけど、このままではよくない気がする。

「アレックス様、帰りましょう!!少し眩暈がしてきました!!リリーまた明日!」


 早くこの場を去りたいと思った私は、半ば強引に仮病を使った。そしてそれを真に受けたアレックス様が焦って私を横抱きにすると、そのまま転移魔法で家の玄関まで帰って来てしまった。

「大丈夫か?このまま部屋へ行こう」

「アレックス様、ごめんなさい。本当は元気なんです。あの、早くアレックス様と一緒に帰りたくて……」

「……~~くう」

 アレックス様は、何故か呻いて更にぎゅうぎゅうと抱きしめてきた。

「あらあら、お帰りなさい。早かったのね。玄関ではなくて、アレックス様もどうぞ中へ、お茶をお入れしますわ」

 母は何も見ていないように、取り入れた洗濯物を持って玄関を通り過ぎて行った。

「こんな所ですまなかった。あまりにフィーネが可愛いことを言うから……」

「あの、おろしてもらっていいですか?流石にこのままは恥ずかしいです」

「そうか、誰も見ていないが……」

 じっと見つめると、アレックス様は仕方なさそうに床へおろしてくれた。

「ところで、ダントン伯爵家の子息とはどこで知り合ったんだ?確か3年だよな。バッチが薬草専攻科だった。接点はないと思うが」

「今朝、少し早く登校して薬草園に行った時に会いました。初めは女の子だと思っていて、喋って初めて男性だと気づきました」

「薬草園に?」

「はい、西の魔女の手がかりを少しでも探したくて。占いで薬草、と言っていたので」

「そうか、女性、薬草。近くにいると言っていたのか……学園は危険ではないか?」

「大丈夫です!みんなも通っているのです。私も通いたいです!!」

 過保護なアレックス様が、通学を止めそうな気がして慌てて返事をした。

「そうか、西の魔女は危険人物として、王宮の魔法騎士団も注意しているんだ。探すのも危険だと思う。十分に気をつけて、何かあったらすぐに言って欲しい」

「はい、わかりました」

「私も、学園を探ってみよう」


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