表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
26/213

第25話 薬草園の天使先輩

「なんだ?俺も忙しいんだ。手短にな」

 愛想は悪いがいい人みたいだ。ちゃんと話を聞いてくれるようだ。

「はい、あの、ここに女性が来ることってありますか。例えば魔女、とか?」

「は?魔女。ここは学園だぞ。魔女は禁術の黒魔術を使うんだ。こんなところに来ていたら問題だろう。騎士団が捕縛に来るぞ」

「そ、そうですよね。そんな気はしていました」

「女性なら、それこそ魔法薬の先生とかなら、普通にここに来るぞ。今年から来た、あの、ミラーリア・ジョシュア先生とか」

「え、あの先生、今年から学園に赴任したのですか?」

「ああ、それまでは気のいい爺ちゃん先生だったんだ。元気だと思っていたのに、急に体調を悪くしたらしい」

「そうですか……」

「もういいか、お前もそろそろ戻れ。授業が始まるぞ」

「あ、はい、ありがとうございました。あの、お名前を聞いても?」

「いいぞ、俺はノア・ダントンだ。ノアでいいぞ。よろしくな、後輩」

「はい、ノア先輩ですね。よろしくお願いいたします」


 授業ギリギリに教室に戻って来た。急いで席に着くと隣の席で、リリーがこっそり聞いて来た。

「なんだか服がボロボロですわ。どうしたの?」

「詳しくは後で話すね」

 先生が教室に来たので、それ以上は言えなかった。


「薬草園に行っていたのですか?」

 お昼休憩の合間に、朝の出来事を説明する。服は浄化魔法で綺麗にした。魔力の暴発は内緒だ。

「そう、そこでタンポポ色の髪の可愛い、男の先輩に……」

「まさか、薬草園の天使先輩ですか?」

「……天使先輩?」

「そう、1年生2年生の生徒がそう呼んでいるの。兎に角可愛い先輩でしょ?」

「そうそう、女の子にしか見えなかった。喋るとハスキーな声でびっくりしたの。俺って言っていたし、喋り方も荒っぽい感じで」

「フィーネ、気をつけて。天使先輩はみんなの鑑賞対象なの。喋ったなんてバレたら恐ろしいことになりますわ。男女問わず一部の熱狂的な方は、何をするかわかりません」

「熱狂的な……そう、分かった、近寄らないようにするね!!」

「ええ、そうした方がいいです。アレックス様の婚約者のフィーネを、害そうとする人はいないと思うけど」

「誰を害するって?」

 剣呑な声がして振り向くと、アレックス様が立っていた。そういえば今日は学園に来ると言っていた……

「あ、違いますよ。害されるような方はいません!!大丈夫です。平穏です」

「そうか、それならいい。フィーネを害するような輩は氷漬けか、炎で消し炭にしてしまえばいい」

「……」

 リリーが引きつった顔で私を見てくる。そう、私の体調が悪化して心配性が増したのか、最近のアレックス様は過保護なのだ。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ