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第1話 友人からの手紙

「フィーネ、おかえりなさい。いつもの転送魔法で、アレックス様からお手紙と荷物が届いていたわよ」

「ただいま、お母さん。アレックス様から、何かな?」

 部屋に入るとたくさんの荷物が届いていた。その上に手紙がのっていた。


【親愛なるフィーネ

 14歳の誕生日、おめでとう。君が王都の学園に来ると思うと今から待ちきれないよ。

 誕生日のプレゼントと、学園で使う制服も一緒に送るよ。不備があったら言ってくれ。すぐに直させるからね。

 本当なら直接お祝いをしたかったけど、最近役職が上がってしまって、忙しくて君の元へ行くことが出来ない。詳しくは執事のジョセフから聞いてくれ。

では、3か月後に王都でね。君のアレックスより愛をこめて】


 私は手紙を読み終えて、茫然としていた。いつの間に私は王都の学園に行くことになっているのだろう?

 当たり前だが、私は住んでいる村の学校に通っている。このままここで16歳まで通う予定だったはずだ。どうして王都に行くことに??

「お母さん、何か変なことが書いてあるんだけど、なにこれ?」

「なあに?どれどれ……あら、王都の学校?お父さんそんな事言っていたかしら?」

 父のマルクは王都で騎士をしている。お母さんと私と弟のロンは、王都から馬で2時間以上かかるルルブ村に住んでいる。王都は物価が高いので、父は王都の騎士専用宿舎に住んで単身赴任しているのだ。

 私と4つ下のロンは村の学校に通っていた。初等部が6歳から14歳。そのあとが高等部で14歳から16歳が通うことになっている。当然私が通うのは村の学校のはずだ。

 お母さんと二人で、手紙を眺めていると家の呼び出しベルが鳴った。

「はーい、どちら様、あら、ジョセフさん、どうされましたか?」

 扉の外には、アルダール公爵家の執事のジョセフさんが立っていた。

「ランドレ夫人。突然の訪問、お許しください。当家の若様が魔法で荷物を転送したので、私より早く手紙が届いてしまいました。混乱させてしまい申し訳ございません。事情を説明させていただいてよろしいでしょうか?」

「ええ、お願いします。娘と二人で困惑していたのです。王都の学園に行くというのは?」

「ああ、そうです。うちの若様が先走られて、本当に申し訳ございません。それと、フィーネ様。14歳の誕生日おめでとうございます。すっかり素敵なレディーになられて、私も老けるはずです」

「ありがとうございます。ジョセフさんと会ってからもう10年たったなんて、早いですね」


 アレックス様、ジョセフさんと知り合ったのは、私が4歳の時だった。当時の記憶が曖昧な部分もあるので、どうして出会ったのかははっきり覚えていないが、森で迷子になっているところを、偶然近くに来ていたアレックス様と付き添いで来ていた執事のジョセフさんに保護されたらしい。

 アレックス様は当時13歳だった。4歳の私は、アレックス様を見て絵本から王子様が抜け出したと思った。だから会ってすぐにこう言った。

「あなたは王子様ですか?どこから来たのですか?」

 アレックス様は私を無言で抱きしめた。そこまでは覚えている。そこからの記憶が曖昧で、気づいた時には自宅のベッドで寝ていた。お母さんからは、迷子になって保護してもらったのだと聞いた。


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