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第198話 カフェでお茶をしましょう

「そうですか、ではアレックス団長と婚約し直したのですね。おめでとうございます」

「良かったわ。やっと元に戻ったのね」

 エマとリリーが口々にお祝いを言ってくれた。今日は約束していた街でお茶をする日だった。沢山のケーキの中からそれぞれ好きなケーキとお茶を頼み、今は先日アレックス様が訪問した時のことを話していた。

「ありがとう。二度目なので婚約式はせずに、半年後に結婚式をすることになったの。ぜひ二人には参列して欲しいの。勿論チャーリーにも伝えて欲しい」

「そう、わかったわ。ちゃんとチャーリーにも参列できるように言っておくわ。それにしても、結局私たちの中で一番最初に結婚するのはフィーネなのね…」

「それは、どうしてもってアレックス様が言うから…勿論子供が出来るまでは仕事を続けていいって約束してもらったし、研究も続けるわよ」

 婚約していても、何かあれば解消させられて陛下に駒として使われる。今回のことでアレックス様は危機感を覚えたようで、結婚だけはしておきたいと両親に頼み込んだのだ。その代わり私がしたいことは出来るだけ反対しない約束だ。仕事も続けていいし、子供はもう少し先でもいいと言ってくれた。

「まあ、幸せそうで良かったわ」

「そうですね、今回のことは大変だったと思いますが、絆が深まったように見えますね」

「ありがとう、二人とも。リリーの時もお祝いしたいから、早めに教えてね。勿論エマも!」

 近況を報告していたら、予定していた時間はあっという間に過ぎていた。リリーも来月から研究所に出仕する。エマも王宮に出入りすることがあるらしいので、またすぐに会えそうだ。


「ただいま帰りました。お母さん?ロン?お土産にケーキを買って来たんだけど…」

 玄関が開いていたので、私はそのまま家族を探して中へ入った。ここよ~っと応接室から声がしたので、私はそのまま応接室へ入った。

「ただいま、お母さん。あの…」

 どうやら来客中のようで、応接セットには見知った人物が座っていた。

「ウィル…と、ソフィア王女殿下。これは失礼いたしました」

 そう言って私は淑女の礼をした。会うのは卒業記念舞踏会以来だった。アレックス様から説明は聞いていたので、私自身はあの婚約破棄に対しては何も思っていないが、うちの両親には詳しく話していないため、ウィルに対してどう思っているのか分からないが…

「堅苦しい挨拶はいいよ。今日は非公式で、友人として訪ねて来たんだ」

「わたくしのお願いで参りましたの。卒業記念舞踏会以来ですね、フィーネ様。突然の訪問を許してくださいね」

「いえ、お気になさらず。それで、訪問された用件は何でしょうか?」

「わたくしがフィーネ様と話してみたかったのですわ。トリアン王国でアレックス様には大変お世話になっていたのです。その方の想い人であるフィーネ様のことが、ずっと気になっていたのですわ」

 無邪気に笑うソフィア王女殿下を、ウィルは少し呆れた様子で見ている。確か王女殿下は3歳年上のはずだが、あまり年上には感じない方だった。

「突然の訪問ですまなかった。あまり時間が無くて、今日はたまたま時間が取れたので急に訪問してしまった。僕もあれから君がどうしているか気になっていたので、一緒について来たんだ」

 ウィルが政略結婚を受け入れてくれなければ、私はアレックス様と婚約を結び直すことは不可能だっただろう。だからああやってみんなの前で派手に婚約破棄されたことは感謝しかないし、遠く離れたミズリー国に戦争回避のため嫁ぐ決心をした王女殿下を尊敬している。しているのだが…


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