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第191話 とうとう卒業記念舞踏会です

『信じるしかないな…ウィリアムも前に任せて欲しいって言うたんとちゃうんか?』

「そうだったね。私もそう思って何も行動してなかったんだけど、期限が近づくにつれて不安になって来たんだよね。やっぱり逃げた方がいい…?でも、迷惑になるしね…いっそ何か病気にでもなって結婚は無理になったとか言えないかな…」

『流石に無理があるんとちゃうか?焦るんは分かるけど、今はアレックスとウィリアムを信じたり』


 2日後にウィルからドレス一式が届けられ、一応覚悟を決めた私は卒業記念舞踏会まで信じて待つことにした。そして無情にもアレックス様帰還という知らせが来ないままに当日を迎えてしまった。

「って、どうしよう?!チルチル~今日が卒業記念舞踏会なんだけど、私、このドレス着てやっぱり行った方がいいのかな??今からでも…」

『落ち着きや。兎に角、今更逃げ出したってどうにもならんて。ここはどっしり構えて、とりあえず行くんや!』

「ええ~そんな適当な…」

 結局侍女やメイドがその後すぐに来て、私は引きつった顔のままドレスに着替えさせられた。焦っている気持ちとは裏腹に、侍女やメイドの支度は完璧でどこから見ても淑女然とした私が鏡にうつっている。

「完璧ですわ。フィーネ様、ご卒業おめでとうございます。殿下はすでにお待ちですので、急いで玄関ホールへ向かいましょう」

「ありがとう、ミリアさん」

 いつも側にいてくれた侍女のミリアさんにお礼を言って、私は玄関ホール前に停まっている馬車まで移動した。ウィルは深い緑色の礼服姿で待っていた。いつもは同系色でペアを意識するコーディネートが、今回は違うようだ。私は青いドレス姿でウィルに淑女の礼をした。

「お待たせいたしました。ウィリアム殿下。今宵はよろしくお願いいたします」

「ああ、綺麗だね、フィーネ。さあ行こうか」

 ウィルは私を馬車までエスコートして、そのまま一緒に乗り込んだ。聞きたいことはあるのに、聞いていいのか判断できない。ウィルもどこかぎこちなくて、結局馬車が学園に着くまで二人とも無言だった。

 馬車は間もなく学園に到着して停止した。馬車から降りるとウィルは、用事があるから入場は別にして欲しいと言ってどこかに行ってしまった。特にペアで入場するものでもなかったため、私はそのまま会場へ入った。入口付近でリリーとチャーリー、そしてエマが待っていたのでそのまま合流した。

「あら、殿下は?」

「用事があるらしくって、今日は別々の入場だったの」

「そう、それで、どうなの?連絡は??」

 私は無言で首を横に振った。リリーとエマは明らかに落胆している私に微笑んだ。

「そう、何か理由があるのよ。まだ諦めないでね」

「そうです、まだ舞踏会は始まったばかりですし…」


 会場は卒業生と教師や保護者、2年生の生徒たちで盛況だ。音楽が流れ、生徒はそれぞれ自由に歓談していた。そしてまだウィルの姿は見えない。

 学園長の祝辞が終わり、両陛下も入場されている。本来ならウィルと二人揃って陛下へご挨拶しに行くのだが、今だにウィルは姿を見せていないのだ。不安になってきた頃、事件は起こった…

 さすがにそろそろ挨拶に行こうと一人で陛下たちの待つ会場前方へ移動しようとした時、突然会場の扉が開いた。そして、今まで姿を見せなかったウィルが隣に見知らぬ女性を伴って会場に入ってきたのだ。…誰??



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