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第179話 誕生日プレゼントですか

「フィーネ、17歳の誕生日おめでとう」

 誕生日当日、ウィルがやって来て小さな箱を手渡してきた。丁度今日は学園が休みで、これからリリーと久しぶりに街に行く予定だった。

「ありがとう、ウィル。開けてもいいですか?」

 ウィルが頷いたので箱を開けた。中には透明度の高いイエローダイヤモンドがついた指輪が輝いていた。

「これ…」

「婚約指輪だ。遅くなってすまなかった。婚約して半年以上過ぎてしまったが、婚姻まで1年を切ったしそろそろ渡してもいいだろう?今も君の薬指にはアレックス兄様の指輪がはまっている。卒業記念舞踏会までは僕の送った方の指輪をつけて欲しい」

 確かに薬指に婚約者でない方の指輪がはまっているのは良くないと思った。ずっとこの指輪を見てアレックス様の無事を祈っていたが、ウィルの気持ちを考えると断ることが出来なかった。

「分かりました。ではこの指輪はウィルが預かっていてください。でも卒業記念舞踏会まではアレックス様のことを待つことは許してください」

「分かっている。それまでは僕も待つよ。では、これをつけてくれるんだね」

「はい、そうします。素敵な指輪をありがとうございます」

 私はアレックス様の指輪を外してウィルに渡した。ウィルはそれを受け取って箱に入れると、代わりに私の薬指に婚約指輪をつけた。見慣れた指輪が無くなって新しい指輪が薬指に輝いているのを見ると、不安な気持ちになったが気づかないフリをして微笑んだ。

「今から出かけると聞いたが?」

「はい、リリアンナ嬢と街に行く約束をしています。誕生日祝いをしてくれるそうです。勿論護衛の方と侍女は一緒に行きます」

「そうか、では僕も同行していいだろうか?」

「えっ…それは、たぶん大丈夫だとは思いますが…」

「そうか、ではそうしてくれ。そうだ、チャーリーも呼べばいい。リリアンナ嬢の婚約者なのだろう」

 楽しそうに話すウィルに、今更ダメだとは言い難く、結局4人で出かけることになった。


「え?殿下もご一緒に?それでチャーリーもついて来たのね…」

「ああ、なんか急に殿下から連絡が来たんだ…ははは…」

「急について来てすまない。僕も一緒にフィーネを祝いたかったんだ」

「ああ、いえ、お気になさらないで下さい。大丈夫です。はい、大勢の方が楽しいですよ、ねぇフィーネ」

 リリーが引きつり気味に微笑んだ。きっと今頭の中でプランを変更しているのだろう…申し訳ないが、ここまで来てしまってはどうしようもない…心の中で謝りつつ、久しぶりの街に心が浮き立っていた。

 王子妃教育もあり、最近はほとんど王宮で過ごしていた。たまには息抜きも必要だと、誕生日の今日は一日自由にしていいと言われていた。さすがに護衛と侍女は同行しているが、それでも一日友人たちと過ごせるのは嬉しかった。

「これならエマも呼べば良かったね」

「あら、今日エマは用事があるから無理だって言っていたのよ。一応ちゃんと誘ったのよ」

「そっか、それは残念だね。次は女子3人でどこか行けたらいいな」

「そうね、また何か企画するわね」

 私たちは少し浮かれ過ぎていたのだ。まさかその後、窮地に立たされるとは思ってもいなかった。


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