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第168話 アレックス様へ

 王宮に着くと、ドレスを脱ぎ入浴を済まして机に向かった。チルチルが明日さっそく隣国へ向けて発つと言ってくれたため、アレックス様に渡してもらう手紙を書くためだ。

 陛下にもそのことを告げ、陛下からも手紙を預かることになった。陛下の所にも結婚延期の知らせが2日前に届いたようだ。マルコ先輩は3日前に知ったと言っていたので、王宮より1日早く知ったことになる、さすがである。

アレックス様に言いたいことは沢山あるはずなのに、実際は便箋を前にペンは全く動かなかった。

『どないしたんや?ずっと手が動いてへんで』

「…何を書いたらいいか、色々あるのにいざ書こうとすると、書けないの…」

『アレックスならどんなこと書いても喜びそうやけどな…今何してるかとかでええんとちゃうか?』

「うん、そうだよね。普段の生活とかでいいのかも…よし」


親愛なるアレックス様へ


アレックス様、お元気ですか?私は元気にしています。

無事3年生に進学が決まりました。専攻は薬草学です。色々な魔法薬を研究して、出来ればそれをいかした職業に就きたいと思っています。リリーとチャーリーも進学です。

魔法お披露目会は、ベスト4に入ったんですよ。少しずつ魔法も上達しています。

アレックス様が今どうしているのか、心配しています。どうか無理をせずに頑張ってください。

待つしかないので、自分の出来る事を頑張ることにしました。アレックス様の決断を受け入れるつもりですが、まだ自信がありません。今は待つことを許してください。

                                        フィーネより


 王宮に住んで王子妃教育を受けていることや、ウィルとのことは書けなかった。それを書いてしまえば、アレックス様に応援されるかもしれない。王子妃教育頑張ってと返事が届いたら、立ち直る自信がなかったのだ。

 短い手紙をチルチルが運びやすいように、小さな封筒に入れて届けて欲しいとお願いした。

翌朝、陛下の手紙も一緒に持って、チルチルは飛び立っていった。



 王子妃教育を受けながら過ごしていたら、冬期休暇はあっという間に過ぎていった。あれから一か月経ったがチルチルはまだ帰ってこない。なんとなくだけど、チルチルが無事なのは感覚で分かっていたので心配はしていないが、一か月も帰って来られないことがあちらで起こっていると思うと心配になってしまう。

「おはよう、フィーネ。今日から3年生だな。僕は騎士科だ。フィーネは薬草科だったな。ノア先生が担当講師なんだよな…」

 朝、ウィルの待つ玄関ホールに着くと、騎士科の制服を着たウィルが待ってくれていた。冬期休暇で更に身長が伸びたのか、少し背の低い私は見上げるような形になる。

「おはようございます。いつも通っていたので今更ですが、今日からは3年生として本格的に魔法薬の研究が出来ます。今からすごく楽しみなんです」

「そ、そうか。頑張ってくれ」

 ウィルはそのまま黙って馬車に向かってしまった。少し不機嫌になったウィルに、何か言ってしまったかと思ったけど、心当たりがなかったので私も黙って馬車に乗った。


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