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第167話 情報部は優秀です

 ウィルと一曲踊り終わって、そのままリリーの所へ向かう途中で声がかかった。

「フィーネ嬢、僕と一曲ご一緒いただけますか?」

 声のする方を見た。本当はお断りしようと思っていたが、その人物を見て受けることにした。

「マルコ先輩、ご卒業おめでとうございます。喜んでお受けします」

「光栄だよ。色々と聞きたいこともあるんだ。踊りながら聞いてもいいかな?」

「奇遇ですね。私も色々聞きたいことがあります」

 情報部のマルコ先輩はフロアまで私をエスコートして、そしてそのまま踊りながら話しだした。

「では、僕から聞いていいかな?」

「はい、どうぞ」

「ウィリアム殿下と1年後に結婚する気かい?」

 いきなり核心をついてくる。急な婚約者変更だった。今でも社交界では真実は語られていない。

「そうですね、このまま行けば…そうなりますね」

「そうか、事情は聞けないんだよね?」

「今はご容赦ください。他国のことも関わりますから」

「はは、他国ね。じゃあ僕からその他国のことを話そうか」

「え?」

「カトリーヌ殿下とアレックス団長の婚姻が一か月後に予定されていたんだけど、どうやら延期になりそうだ」

「え?それは本当ですか…どうして?」

「詳しいことはまだわからない。ただ延期なのはかなり確実な情報だよ。ただ、今だに婚約者ではあるから、結婚しないわけではないと思うんだけど…」

「そうですか…こちらの王族にも連絡は来ているのでしょうか?」

「たぶん、そろそろ来ていると思うよ。僕が知ったのは3日前だし」

「相変わらず凄い情報網ですね。王宮の文官になると聞きました。おめでとうございます」

「ありがとう。目標は影なんだけど、それは出仕してからだね」

「マルコ先輩なら本当に実現しそうで怖いですね」

「はは、ありがとう。君もスコット侯爵家の後見、王妃様のお気に入りで、さらに淑女として注目を集めている。これで王子妃になれば無敵、だけど、君の心は何処にあるのかな?」

「無敵…私の心は、内緒です。さすがのマルコ先輩でもそこは分かりませんよね?」

「う~ん、君は自分が思っているより素直で正直だよ。まあ、今は聞かないけどね。では、またね」

 そこで、曲が終わりお互いに礼をして別れた。一応顔に出してはいなかったつもりだけど、アレックス様のことを聞いたとたん心臓が跳ねた。結婚が延期になった。何かがあったのかもしれない…いや、きっとあったんだ。

『気になるんやったら、わいが行ってこようか?』

「チルチル…でも、まだ確定ではないかもしれないし…」

『マルコの情報や、延期は確実やろ?まかしとき』

「うん、ありがとう。気をつけてね。今日は遅いから、明日以降よ。手紙も書いていいかな?」

『おう、まかしとき』

 リリーたちと合流した後も、その事が気になって少しうわの空だった。アレックス様が画策していることが上手くいっているのならそれでいい。何か予期しないことが起こって延期になったのなら?と思うと居ても立っても居られないのだ。

 結局帰りの馬車でも、そわそわと落ち着かず、事情を知らないウィルに心配を掛けてしまった。


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