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第161話 ウィルの態度が気になります

 辺境伯領から帰還すると、学園の課題に取り組んだ。課題が終わる頃、あっという間に夏季休暇も終わってしまった。夏休暇が終わる頃にリリーと王都に買い物に行ったくらいで、ほとんど夏休暇らしいことも出来ずに王宮で生活していた。そして相変わらず護衛2名がいつも一緒にいる生活だった。

 何故か王宮ではウィルと出会うことが多く、その度にお茶に誘われた。特に話すことはなかったので、お茶をしながら課題の議論をしていたらすぐに時間が過ぎていく。有意義な時間を過ごしているとは思う。

『毎回、色気のない話ばっかりや…』

 チルチルは呆れながらそんなことを言っていたが、色気のある話ってなんだかよくわからないので、そのまま気にせず話していた。

「フィーネは薬草科に行くのか?」

「はい、そのつもりです。薬草に興味があるので魔法薬の研究もしたいですし」

「そうか…あの、ノア先生は、どうだ?」

「どうだ…とは?う~ん相変わらず天使ですね。1年生も2年生もよく薬草園を見に来ていますね。遠くから見ているんですけど、あれでちゃんと見えているのか不思議です。気になるなら来たらいいと思うんですけど、遠巻きにしか見てないんですよね…」

「そうか…フィーネはどう思って…いや、いい」

 よくわからないことを言って黙ってしまったウィルを見た。夏を過ぎ更に身長が伸び、すっかり少年ではなく青年になっていた。騎士を目指すと言っているだけあって、体もかなり鍛えているようだ。最近生徒の間でも、秘かにウィルの人気があがっているのだと、リリーがこっそり教えてくれた。

 秘かなのは一応私という婚約者がいるかららしい。私としては、ウィルが好きな人が出来て、その人と結ばれたいのならいつでも婚約破棄したらいいと思っているのだが、面と向かってそう言うのもどうなのか分からず言い出せてない…

「そうだ、今度王宮内にある薬草園に行かないか?」

「え?いいんですか?貴重な薬草があるので、一般の者は入れないんじゃ…」

「ああ、そうだな。だが、特別に許可をもらったんだ。どうする、一緒に行くか?」

「行けるなら、行ってみたいですが…」

「わかった、一緒に行けるよう手配しよう。日取りが決まったら連絡する。じゃあ、公務があるから行くよ」

 ウィルは爽やかに微笑むと、そのまま行ってしまった。

「どうしたんだろ…最近のウィルが、カッコよく見えるのは気のせい??」

『そやな、いろいろあるんちゃうか?』

 訳知り顔でチルチルがそんなことを言うから少し気になったが、王宮の薬草園に行けることに浮かれてその後はそればかり考えていた。

 

 数日後、約束通りウィルと王宮の奥にある薬草園に来ていた。薬草の半分は外の畑にあり、温暖な気候を好む薬草は温室で育てているそうだ。他国にしか生息しない貴重な薬草も、ここで数種類育てることに成功しているそうだ。魔法薬には数種類の薬草を調合して、そこに魔力を加えて完成させるものも多い。今も多種多様な研究がされている分野でもある。

「ありがとうウィル。今日はすごく楽しみにしていたの」

「ああ、それなら良かった。時間はあるからゆっくり見学させてもらおう」

 何故か手を引かれる形で温室の中を回っている…これも一種のエスコートなのかと思い、そのまま温室内を進んで行った。ウィルも何となく楽しそうだった。


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