第151話 魔法お披露目会
チルチルは結局魔法お披露目会には間に合わなかった。リリーと私は仲良く初戦を勝ち抜いたが、リリーは2回戦で優勝候補と対戦して残念ながら敗退した。私は何とか運よく準決勝まで進んだが、そこでリリーと対戦した優勝候補と当たり、これまた敗退してしまった。
「ごめん、リリーの雪辱を晴らせなかったよ…」
「ううん、ベスト4になったんだよ。氷魔法、完璧だったじゃない。相手が一枚上手だったけど、すごいことだわ」
「ありがとう。リリーと特訓したからね、魔王様たちに感謝だね」
「そうだね、あの時は本当に頼んだこと後悔したけど、あのお陰でここまで来れたのよね…」
ドンドンと太鼓の音がした。試合開始の合図だ。
「あ、決勝が始まるわ。対戦相手は…ウィリアム殿下…」
私を破って決勝に進んだ人の対戦相手はウィリアム殿下だった。そういえば、殿下は従兄であるアレックス様を尊敬していると言っていた。しっかり実力もあったようだ。ウィリアム殿下は4属性を持っているようだ。光、風、火、土を駆使して、次々と相手に攻撃をしている。相手も攻撃を繰り出し、一進一退の攻防が続いたが、最後に殿下が大技を繰り出し相手を場外へ吹き飛ばした。審判が勝者のウィリアム殿下の旗を振った。
「勝った…わ。すごい」
こんなに強いとは失礼ながら思ってなかったので、正直感心した。だがその直後、殿下はそのまま会場で崩れ落ちた。どうやら魔力を使いすぎたようだ。場外へ吹き飛ばされた選手は、癒し担当の生徒が駆け寄っていた。私は急いで殿下の元へ走った。
「大丈夫ですか?今癒やしますね」
「フィーネ…君も戦った後なのに、大丈夫なのか?」
「はい、まだ癒やすくらいの魔力なら残っていますよ。戦うのは流石にしんどいですが」
「そうか、なら頼む…」
ウィリアム殿下はそう言って私に身を預けた。私は膝の上に殿下の頭を乗せ、ゆっくりと癒していった。淡い光が殿下の体を覆う。
「ああ、助かったよ、ありがとう」
微笑みながらお礼を言われて、その笑顔にアレックス様の面影を見てドキリとした。
「あ、はい…」
「どうしたフィーネ?顔が赤いが…やはり無理をして癒したのか?」
「ええっと、そんなことはないです。はい、大丈夫です」
まさかアレックス様に似ていて照れたとは言えず、慌てて誤魔化した。ウィリアム殿下はそのあと優勝の表彰をされていた。こうして無事魔法お披露目会は終わった。帰る支度をして廊下を歩いていると、前方からノア先生が歩いてきた。
「お疲れ、フィーネ。すごいじゃないか、ベスト4だって」
「ありがとうございます!これで成績上位3分の1に入れたらいいんですけどね」
「進学希望か?どこを専攻するんだ?」
「希望は薬草科です。癒しの力では足りないものを、薬草が補ってくれると思うので極めたいと思って」
「そっか、俺の後輩になるんだな。まあ、頑張れよ」