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第150話 チルチルのお使い

 あと2週間で魔法お披露目会だという時に、チルチルが突然旅に出ると言った。

「え?旅??どういうこと?」

『隣国の国境辺りに魔物が仰山おったって言ったやろ?そこの調査と…ついでにトリアン王国にいる知り合いに会いに行ってみようと思ってんねん』

「トリアン王国の知り合いって…まさか、アレックス様??」

『そや、わいの知り合いや。魔物の件もあいつなら分かってるかもしれへんし、ついでにフィーネのことも伝えたるで。あくまでついでや』

「チルチル…」

『なんも言いたないんやったら、それでもええ、わいはわいのしたいようにするだけや』

「ありがとう、チルチル。もし、アレックス様に会えたら伝えて。待っています、って。あなたが直接私に別れを告げるまで、どんなことが起こっても信じて待っています」

『おう、まかしとき。その代わりわいが帰ってくるまでに、もうちょっと食べておいてや。最近のフィーネは細すぎて、わいがとまりにくいねん』

 どうやら、最近痩せすぎているのを心配させていたようだ。それでこの提案なのだろうか…

「わかった。頑張って食べるよ。心配かけてごめんね」

『ええんや。兎に角今はなんもわからんねんから、ちゃんと見てきたる。見たまま教えたるから待っといてや。魔法お披露目会までに戻る予定やから、頑張って練習するんやで』

 元気よく飛び立つチルチルを見送って、私は学園に行くため、王宮の馬車止めに向かった。チルチルが帰ってくるまで頑張ろうと思った。

 

「フィーネ、どうした?何かいいことがあったのか?」

 馬車止めに着くと、ウィリアム殿下が待っていた。若い時のアレックス様とよく似た姿にドキリとする。従弟なのだから似ていてもおかしくないのだが、最近は接し方までアレックス様と似てきたのだ。

「おはようございます。ウィリアム殿下。えっと、そうですね、少し元気が出ることがありました」

「そうか、それはよかったな」

 さり気なく手を取り、馬車に乗れるようエスコートしてくれる。この間泣いているところを見られたのをきっかけに、ウィリアム殿下の態度が変わったような気がしている。全体的になんというか…


「何、あの甘々の殿下は…何か変なもの食べたのかしら、って不敬罪かしら?」

 教室に入ると、リリーがこっそり耳打ちをしてきた。甲斐甲斐しくエスコートされる姿を、どうやら教室の窓から見られていたようだ…

「ははは…やっぱりそう思う?急に態度が変わって、何というか、戸惑ってしまうよね…」

「うん、一応婚約者になったから、と言われたらそうなんだけど、今更だしね…何か心境の変化があったのかしらね」

「そうだね、一応婚約者だったね」

 発表当時は注目を集めたが、王族の婚約者を表立って虐めようという気概のある方はいなかったため、思っていたより平和な学園生活が送れている。離れたところに常に護衛が2名ついているからそれも理由だろう。

「それはそうと、今日の放課後に魔法お披露目会のトーナメント表が貼り出されるみたいよ。初戦でフィーネには当たりたくないな」

「そうだね、出来たら一回戦は知らない人がいいな」


ここまで読んでいただいてありがとうございます。

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