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第147話 前に進みます

 ウィリアム殿下と一緒に馬車で学園に登校した。さすがに定時に着くことは出来なかったが、遅刻したお陰で人の視線にさらされることなく教室に着いた。静かに教室に入り着席すると、横の席にいるリリーと目が合った。2日間寝ていて学園を欠席していたし、アレックス様とのことも噂になっているはずだ。きっと心配を掛けてしまっているのだろう。

 私は安心させるように、リリーに微笑んで見せてから前を向いた。今自分に出来る事をして、アレックス様を待つ。もしアレックス様が本当に私を捨てるのなら、絶対に会いに来てくれるはずだから。


 あれから一か月が過ぎた。最初こそ周辺が騒がしく、いろいろな目で見られることに神経を使ったが、それも最近は落ち着いてきた。ずっと不確かなことを噂できるほど、ここの生徒は暇ではないのだ。

 3週間後には2年生の対戦型魔法お披露目会がある。それも評価の対象になるため、放課後は戦闘訓練のため居残る生徒も多い。得意な魔法を対戦形式で披露するのだ。授業でも対戦式を意識した内容になっている。癒し系が得意な生徒は、裏方に回って負傷した生徒を癒す。それが評価になる。

 癒し系も得意だが戦闘にも興味があったので、今回は対戦式の参加で登録した。ウィリアム殿下は最後まで反対したが、なんとか説得した。最近の殿下は、アレックス様に似てきたのか過保護が酷いのだ。


 最初は広い王宮での生活に戸惑い、豪華すぎる調度品に気を使ったが、それもやっと慣れてきた。ずっと住みたい場所ではないが、これも経験だと思うことにした。

 慣れれば不思議と住み心地も良くなるのか、最近は自由に王宮を散策することも多くなった。ただ気になるのは王宮内にいる時でも、常に護衛が2名と侍女1名がついて来ることだ。何に警戒しているのかウィリアム殿下に聞いたが、いつも理由ははぐらかされるのだ。それも最近は気にならなくなった。人間は順応する生き物なのだ。

「フィーネ、どうしたの?今日は放課後残るのでしょ?」

 少しぼんやりしていたのか、リリーの声で我に返った。

「うん、今日は氷魔法を使いたいから、学園の結界の中でしないと危ないのよ。朝一で練習場の予約は取ってあるよ」

「そう、じゃあ一緒に練習していいかしら?今日は過保護の殿下もいないみたいだし…」

 リリーが小声でそう言った。近くに護衛の人がいるので、聞こえたら不敬だと怒られると思ったのだろう。

「うん、一緒にしよう。出来たら対戦の練習もしたいから」

「ええ、火と氷だと相性悪そうだから気をつけてしましょうか」

 

 放課後リリーと練習を終えて王宮へ戻ると、そこにアルダール公爵様が待っていた。

「アーサー様…お久しぶりです」

 私は制服の裾を持って淑女の礼をした。アーサー様は少し申し訳なさそうな顔で微笑んだ。

「久しぶりだな、フィーネ。少し痩せたように思うが、ちゃんと食べているか?」

 ドキリとしたが微笑んで誤魔化した。確かに食欲は落ちていた…

「はい、王宮の食事はとっても豪華で…少し緊張しますが美味しくいただいています」

「そうか…それならいいが。今日は少し話せないかと思って待っていたんだよ」

「話ですか?」

「ああ、立ち話もなんだ、近くの応接室を用意してもらっているから、一緒に来てくれるかい」

 アーサー様について応接室へ入ると、護衛の二人もついて来ようとしたが、それをアーサー様は断った。


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