第13話 トルカーナ魔法学園
国中の魔力量の多い子供たちが学び、一流の魔法使いになることを目指してトルカーナ魔法学園に通う。今年は、第三王子のウィリアム殿下が通うこともあって、上位貴族の入学が例年より多いらしい。王子と知り合う絶好の機会ととらえているようだ。
「フィーネ、その制服とてもよく似合っているよ。私も君と一緒に通いたかったよ」
「あ、ありがとうございます。アレックス様の制服姿も見たかったです。きっと格好良くてモテたんでしょうね」
「どうだったかな、あまり気にしたことがないな。後輩のマックスとつるんで遊んでいたから、女性のことは気にしてなかった。フィーネがいたら違ったのだろうけど」
二人で学園を歩く姿を想像して、少し照れた。きっと楽しそうだ。
「何を思ったの?」
「あ、一緒に通ったらって想像していました。丁度出会った頃くらいの年齢ですよね。あの時のアレックス様、絵本から出てきた王子様みたいでした」
「フィーネ、可愛らしいことを言うなんて、俺の自制心がきかなく……じゃなくて、今の俺はフィーネの好みではないのかい?」
「いえ、今のアレックス様も素敵ですよ」
「ああ~~あの、僕は居ないことになっています??独り身の僕の前でイチャイチャしないでください!!」
「あ、マックス、悪い。いることを忘れていたよ。君も来賓だったな」
「ええ、あなたと一緒に卒業生として呼ばれましたよ。一応僕も魔法騎士団副団長ですからね。団長はこちら側から入場ですからね。名残惜しくてもフィーネちゃんを離してくださいよ」
アレックス様たちを見送って、私も自分のクラスへ向かう。初年度は属性別のクラスではなく、ランダムに6クラスに別れるようだ。2年目は属性別のクラスとなり、ここで卒業する者もいれば、3年目の専門分野へ進学する者もいる。全体の3分の2は3年目の専門分野を専攻してから卒業するようだ。より専門を極める方が就職に有利なのだという。
2年で終了するのは貴族の子女が多い。魔力の強いお嬢様は、お見合い相手として重宝されるらしい。女学園に行かずにここへ来る貴族子女は、魔力が高くより有利な条件で自分を売り込む気満々ということだ。または、エリート魔術師と知り合うチャンスだととらえる人もいるようだ。
どのみち私には関係のない話となる。先日、アレックス様と私の婚約が正式に発表されたのだ。入学を控え、私を学園に行かすことが不安になったアレックス様の鶴の一声というやつだ。
私は最後まで抵抗した。どう考えても公爵家の次男と平民の私では釣り合わないと思ったのだ。いくら公爵家がいいと言っていても、社交界でアレックス様が私のせいで悪く言われるのは耐えられないと思った。しかし、ここで思わぬ事実が判明する。母の意外な発言で、この問題は解決されることとなったのだ。
「ねえフィーネ。あなた平民、平民と言っているけど、あなたにも半分は貴族の血が入っているわよ。だって私は子爵家の令嬢だったのだから」
「え、ええ?」