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第132話 願い事の真相

 マルコ先輩から一通りの情報を聞き、お礼を言って見送った。聞いたことを整理しながらソファーに座っていると、母に庭の水やりを頼まれた。練習も兼ねて水魔法を使って思いっきり庭に水を降らせた。

「うわっ冷たっ」

 声に驚いて水を止めると、ずぶ濡れになったアレックス様が庭に立っていた。私は慌ててアレックス様に駆け寄った。水が滴った髪をかき上げるアレックス様の姿が妙に色っぽい…

「ごめんなさい。まさか転移してくると思わなくて」

 アレックス様は火魔法と風魔法で素早く服と髪を乾かして微笑んだ。

「いや、急いでいて転移先に何があるか確認せずに飛んだから、こっちのせいだ、気にしないで。それより至急ついて来て欲しいところがあるんだ、何か急ぎの用事はないかい?」

 外出を禁止されているのだから、特にこれと言った用事は今のところなかった。どちらかというと暇だ。

「何もありません」

「そうか、ではこのまま魔法騎士団本部に飛びたい。ランドレ夫人にだけ伝えたら、すぐに行くから準備して欲しい」

 アレックス様にしては、かなり焦った様子だった。私はすぐに母に出かけることを伝え、外出できる服装に着替えると、玄関で待つアレックス様の元に急いで向かった。


「急がせてすまない。エメリン夫人が危篤状態だ。出来る限りでいいから癒してほしいんだ…」

「危篤…何かあったのですか?」

「ああ、暗黒魔術を使われてしまった…状況はまだ見てないからわからない。さあ、掴まって、飛ぶよ」

 私は慌ててアレックス様の手に掴まった。転移魔法は高度な魔法で私はまだ出来ない。途中で手を離すと何処に飛ばされるかわからないため、いつも少し緊張する。

「はい、お願いします」


 魔法騎士団の本部に飛ぶと、そのまま監獄がある王宮の端の建物に急いだ。魔法騎士団の制服を着た騎士が、エメリン夫人がいる部屋まで案内してくれた。さすがに独房では治療が出来ないと、急遽部屋が用意されたそうだ。

 部屋には、ベッドと椅子以外何もなかった。ベッドの横に椅子が置いてあり、そこに男性が座っていた。アレックス様が男性に近づき声をかけた。

「オスカー・ブレス侯爵令息でしょうか?」

 茶色の髪にグレイの瞳の青年が慌てて椅子から立ち上がった。自宅に監禁されているという長男のオスカー様のようだ。

「はい、オスカー・ブレスです」

「急に呼び出してすまない。何か事情を知っているかと思ったんだ。君は王立図書館の司書として働いていたね。禁書庫にも入れる権利を持っていると聞いた。エメリン夫人が何か君に頼まなかったかい?」

「…母は、暗黒魔術について知りたがっていました。何故そのようなものを知りたいのか不思議でしたが、最近頼まれていた暗黒魔術の記述を見つけて渡しました」

「その暗黒魔術とはなんだ?」

「魔女を人間にする方法でした。私も読みましたが、普通の魔女には無理でしょう。王宮魔法使いでも…唯一可能性があるとすれば、生粋の魔女と呼ばれる者たちでしょうか」

「そうか、わかった。今からエメリン夫人を治療するので、違う部屋で待機していて欲しい」


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