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第119話 王都へ帰りましょう

 リリーと相談して、次の交代が来るまでに及第点がもらえれば、残りの休暇は遊ぼうと決めた。終わりが見えれば、そこを目指して頑張ればいい。残りの休暇を楽しむという餌をぶら下げ、ひたすら魔王の特訓に食らいついた。結果、何とかアディ様とヘインズ様の及第点をもらうことに成功したのである。

「おめでとうございます。私たちはあなた方の頑張りに及第点を差し上げます。次の引継ぎには特訓のことは伏せて、護衛のみの申し送りにいたします」

 その言葉を聞いた時、私とリリーは手を取り合って喜びを分かち合った…魔法騎士団の方たちに特訓を頼むのは今後一切止めておこう。そう二人で心に誓いあった瞬間であった。

 

 アレックス様への手紙を渡してもらえるようにお願いして、魔王ことアディ様とヘインズ様を見送ったあとは、後任の護衛の方たちとローゼー子爵領を観光して回った。

 前に来たときは辺境伯領へ向かう途中だったため、観光することもなかった。今回も及第点がもらえてなければ、観光できなかった可能性もあった。

 念願の街を観光して、弟のロンや家族、そしてアレックス様やノア先輩にもお土産を買った。それと、お世話になった情報部、魔物研究会、占ってくれたキャンベル先輩にもこの領の特産だという果物のジャムやお菓子をたくさん買った。途中、チャーリーも合流して馬で遠乗りにも出かけた。リリーの弟のジャック君ともすっかり仲良しになって、次の休みに遊びに来ることを約束するまで泣かれたほどだった。


「叔父様、叔母様、ジャック君そしてリリー。長い間お世話になりました」

「フィー、また遊びにおいで。もう親戚の娘も同然だからね」

「フィーお姉ちゃんもチルチルも絶対また来てね!!」

 ジャック君は私たちが特訓している間、チルチルと遊んでいたのですっかり仲良しになっていた。

『おう、それまでに教えた魔法、ちゃんと練習しておくんやで』

「え??魔法???」

 リリーがびっくりしてジャック君を見た。5歳のジャック君はまだ属性判定もしていないはずだ。

「うん、水魔法、ちゃんと使えるようになっておくね」

 そう言ってジャック君は小さな水の球を手の平に浮かべた…

「まあ、ジャック。あなたはもう魔法が使えるの?うちの子、天才なの?」

 嬉しそうに微笑む叔母様に、叔父様が注意をした。

「これ、テレーゼ。初期の魔法は不安定なのだから、手放しで喜んでもいられない。早急に家庭教師を見つけなければいけないのだよ。チルチル様のお陰で早期に気づけて良かったが、今後も暴走しないようにしなくてはいけないな」

 そう言いながらも将来有望な跡取り息子に、叔父様も嬉しそうだ。

「では、我々もフィーネ様と共に戻ります。ローゼー子爵、大変お世話になりました」

 護衛の二人が、叔父様に挨拶していると、後ろから懐かしい気配がした。

「久しぶり、フィーネ。会わないうちにますます綺麗になったね」

 懐かしい声に振り向けば、そこにアレックス様が立っていた。

「アレックス様、どうして?忙しいから迎えには行けないと手紙に書いてあったのに…」

「ああ、そのつもりだったが…マックスが落ち着きのない私を見かねて、執務の代理を買って出てくれて…」

 マックス様…なんとなく情景が浮かんでしまいました。優秀な副団長は、きっとアレックス様がいない方が仕事が進むと判断したのだろう。


いつも読んでいただきありがとうございます。

毎日、朝夕各一話投稿させていただいておりましたが、2日前から原稿の進み具合のせいで、朝1話投稿となっております。すみません。頑張って元に戻せるようにしますが、暫くの間よろしくお願いします。

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