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第116話 一緒に寝るのは変ですか

「ありがとうございます。離れている間、これを見てアレックス様を思い出しますね」

「フィーネ、可愛いことばかり言って私を試しているのか……?敵にここを知られる危険性も考え、ここには私は近寄らない。交代の護衛が来るときに手紙を預けるから、フィーネも書いてくれるかい?」

「はい、必ず書きます。あの、それで、今日は一緒に眠ってもいいですか?」

「……あ、ああ、いいよ。そうしようか…」

『試されまくりやで…まあ頑張れや』

 チルチルがアレックス様の頭にとまってつついた。アレックス様は勢いよく払いのけようとしたけど、チルチルは上手に避けていた。


 夕食を一緒にとって、入浴をすませアレックス様と一緒に眠る。私にとっては不安な心を落ち着かせるための、小さい頃からの習慣だった。でも、そうではないということをリリーに翌日指摘されて初めて気づいた…

 翌日の朝、転移するアレックス様を見送り、今日も安静にするためベッドにいた。話し相手にとリリーがやってきて、昨晩のことを話したら、リリーが驚いたのだ。

「一緒に寝ていたの??アレックス様、大丈夫かしら?」

「え?駄目なの?小さい頃から、たまに寝てくれていたよ。体調が悪かった時には毎晩一緒だったし、そんなにおかしいこと?」

「そうね、普通ではない、わよね。私とチャーリーも婚約者で幼馴染だけど、幼い頃はともかく、最近はそんな事流石に出来ないわ。誤解を招くし、醜聞も悪くなるでしょう?」

「そうなの?醜聞とか気にしたことなかった……」

「年頃の男女が同衾するなんて、純潔であることが結婚の条件の貴族令嬢にはあり得ないわよ。それに、男性は好きな女性と一緒にいると、ほら、いろいろあるのよ…」

「…?」

「そうね、わかっていたらさすがに一緒になんて言わないか…まあ、アレックス様がいいって言うならいいのかしらね」

「ううん、駄目なら気をつける、うん、次はちゃんとするよ」

「そう、逆に私が恨まれたら嫌なのだけど…まあ、フィーネがそう言うならいいのかしら」

 この後、アレックス様がとても残念がることを、私たちはこの時知るはずもなかった。


 3日後、すっかり体調が良くなった私は、冬期の課題である薬草採取をするため、リリーと護衛の二人と一緒に近くの森を訪れていた。

「ここの辺りは薬草がよく採れるのよ。今は冬から春にかけて芽吹く薬草があるの。咳止めや頭痛に効くのよ。雪の中から赤い葉が出ているから、見つけやすいはずよ」

 ずいぶん温かくなったが、森の中にはまだ雪が残っていた。滑りやすくなっているため、気をつけて進んで行く。学校の課題に護衛の二人を付き合わせるのは申し訳なかったが、二人とも楽しそうだった。

「懐かしいです。私たちもトルカーナ魔法学園の卒業生ですから、薬草採取もしていましたよ。かなり高齢の先生だったので引退されたようですね。来年からはダントン伯爵家のノア様が講師なんですね~いや~同僚がノア様を女性と間違えて玉砕していったのも、今となっては笑い話ですよ」

 薬草園の天使先輩ことノア先輩は、卒業後学園に頼まれて、来年からは正式に魔法薬の講師になった。2年生は希望選択を優先的に選べるため授業を受けられると思うが、1年生は定員を超えれば抽選となるようだ。おそらくノア先輩が講師となったため、抽選となることが予想された。


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