プロローグ
こんにちは。2作品目になります。毎日投稿予定です。
よろしくお願いします。
―――雨が降りだした。
真っ赤に地面を染めてぐったりと横たわるフィオリーナと、茫然と座り込む僕の上に冷たい雨が無常に打ち付ける。
「駄目だ、フィオリーナ。目を開けて……僕を置いて行かないで……ずっと一緒だって、約束したじゃないか、嫌だ!!」
そう叫んだ瞬間、僕の中に何かが入ってきたような気がした。
ああ、君の欠片だ。ずっと一緒にいようね。そして早く僕の元に帰って来て。必ず君だと分かるから。
フィオリーナの遺体は3日後に埋葬された。
彼女の父親のスコット侯爵は疲れ切った様子で妻のキャサリン叔母様の肩を抱いている。フィオリーナの2つ上の兄、ジョセフは黙ったまま墓石を見ている。フィオリーナは僕と同じ8歳だった。
「どうして、うちの娘が、どうして?アレックス、あなたが、あなたが……ああああ」
叔母様は僕の前で泣き崩れてしまった。
「やめないかキャサリン、アレックスが悪いんじゃない。わかっているだろう。これは、不幸な出来事だ。悪いのはフィオリーナたちを襲った犯人だ」
「……」
「すまないアレックス。キャサリンは混乱しているだけだ。君を責めたいわけじゃないんだ」
「わかっています。でも、僕が悪いんです。フィオを守れなかった。ごめんなさい」
庭で遊ぶときに僕がふざけて服を交換することを提案した。いとこ同士で姿が似ていたから、フィオは犯人に僕と間違えられて刺されたんだ……きっとそうだ。
「犯人は必ず探し出す。キャサリン、うちのアレックスを許してやってくれ」
父様が頭を下げた。僕も頭を下げた。
「お兄様……アレックス、……ごめんなさい。責める相手が違ったわ。犯人を捜してください。絶対に許さないで……」
「よろしくお願いします。アルダール公爵」
「任せておいて欲しい、スコット侯爵。王家の騎士も協力をしてくれている。必ず犯人を捕まえる」
それから5日後、ものが言えぬ姿で犯人は見つかった。王都を流れるロローヌ川に遺体が浮いていたのだ。身元が分かるものは何も身に着けていなかった。犯人死亡、これでフィオリーナ殺害事件の捜査は打ち切られた。
どうして僕たちが襲われたのか、それは結局わからないままだった。
それから5年後、偶然立ち寄ったブルーベルの森で僕は彼女を見つけた。
フィオリーナの魂を持って生まれたフィーネ。僕の妖精だ。
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