表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。

趣味に関する私的見解

作者: コルシカ

趣味に関する私的見解


 生きる楽しみ、あるいはただのひまつぶし。

 趣味といえばそれぞれの人がもつイメージといういうものは多様であろう。

 むかしのお父さんやお母さんといえば、趣味が仕事、あるいは子育てといった武骨な方々も存在していたはずであるが、今はどうであろう。

 私のもつイメージとして女の人は中年以降だんだん元気になっていって、男の人は中年期からテンションが下がっておとなしくなっていく、というものがある。

 もっといえば女の人は旦那様が亡くなった後元気になって長生き、男の人は奥様が亡くなった後元気がなくなって、ひっそりと後を追う……みたいなイメージすらある(私的見解です)。

 女の人は年をとってもお友だちと趣味だったり美味しいものを食べに行ったり、子育てを卒業しても楽しみがあるのに対し、趣味が仕事みたいな男の人は定年後や休日にやることがなく、認知症が進んだりするとも聞く。

 どう考えても仕事や子育ては人生における楽しく過ごすための長年の原動力にはなれないので、「生活」という部類に属するのかもしれない。

 私もすごく体調が悪い時で「今日はずっと寝ていようかな……」というくらい落ち込んでいても「今日は新刊の発売日だから本屋に行かなくては。そうなると身なりもちょっとは整えないと」と気力が出てくることもある(程度の差はあります)。

 そのように考えると、趣味は私にとって生活を遂行するにおいて欠かすことのできないサブエンジンだと認識することがある。

 ひとつ仕事や子育てに集中しすぎると、そこに執着が生まれ、決してよい方向には進まない。

 趣味が多い人は執着を分散できて、広い視野で生活を送ることができる。つまりは「遊び」や「余裕」の部分が増えるのである。

 多くの分野から仕事や子育てのエッセンスを取り入れることができる。視野狭窄は自らだけでなく、周りを巻き込んだネガティブ思考に陥ってしまうので、視野を広くもつのには趣味を楽しむのは悪くないのではないか、と考えている。


 (私の趣味の歴史)

 まず周りの人からは「趣味が多いね」といわれることが多い私ではあるが、一番古い記憶はトミカのミニカー収集であった。

 私が幼児の頃、当時同居していた祖母が近所の文房具屋さんでベビーカーでお散歩するときにミニカーを一個ずつ買ってくれた(これは近所の実家にあらかた残されている)。

 それを並べてミニカーの車種を覚えたりして幼児期から趣味収集の癖を養っていた。

 ミニカーの車種をすべて暗記し「お顔で全部わかる」といっていた幼少期を過ぎ、ウルトラマンの怪獣消しゴム収集(これも実家に残っている)等を経て、小学校入学以降は読書に趣味の比重は移っていく。

 とくに熱中したのは電信電話公社(現NTT)の絵画コンクールに入賞した副賞の図書券で購入した「画本三国志」であった。

 陳舜臣さんが訳をつけたのちのゲームのタネ本になる本場中国の絵で、膨大な登場人物を網羅して記憶。のちに正史三国志の訳本まで購入するに至った。

 中学においては音楽とくにポップミュージックへの目覚めがあった。ラジオでたまたま聴いたビートルズにドハマりし、CD化されるや全種揃えて歌詞カードが擦り切れるほど歌詞を暗記、のちのギター演奏の礎をつくった(ギターはもちろんジョン・レノンのギターと同種同色のものを購入した)。

 趣味の広がりは樹木の枝に似ている。読書をしていれば自分で文章を書いてみたくなるし、ガンダムのアニメを視聴していればプラモデルを作りたくなってくる。

 スポーツに関しては野球とサッカーを少し嗜む程度だったものの、プロ野球やJリーグ、あるいは代表戦の国際試合まで興味をもって観るようになった(プロレスだけは実経験がありません)。

 そんなこんなで広がってしまった趣味をいつか辞めてしまう人も多いのだろうが、私はだいたい現在進行形で同時に楽しんでいる。

 趣味も一つを突き詰めてしまうと執着が生まれてしまうのは仕事等と同じなので、いい塩梅であちこち齧っていれば一つ趣味に追い詰められることがなく、楽しめる。

 楽しんでこその趣味。それを血眼で打ち込んでしまえばそれは楽しみとは言えなくなる。

 緩急自在に気分にあった趣味を選びその楽しみに身を任せることが一つの醍醐味なのかもしれない。


 (いい趣味、悪い趣味)

 いい趣味ですね、といわれることがあっても、悪い趣味ですね、と相手から直接いわれることはすくないのではないだろうか。

 他人から見て悪い趣味とは一体何か?酒、タバコ、ギャンブル、風俗……とかであろうか。

 ちょっと自分がしない趣味なので、偏見はあるのかもしれない。これらはなんかのめり込むとめんどくさそうなイメージはしなくもない。

 とはいえ読書なんかも本が山積みになってしまったり、プラモデルもいつの間にか置く場所に困ったり良くない側面はどの趣味にもあるのだけれど、まあ要するに「ほどほどに楽しむ」のがキモかなあと感じる。

 先に述べた酒タバコにしても、度を過ぎると肺や肝臓を壊してしまい、健康被害の代表みたいなイメージはある。ギャンブルにしても依存性があり、経済破綻の危険にもさらされる。

 電車(乗り鉄・撮り鉄)、アニメ、ミリタリー等のハードな趣味をもつ人とくに男性は、女性にモテないという。私はアニメが好きだが、所有する自動車にアニメのプリントを施す(痛車)、モデルガンを所狭しと収集する、迷惑行為を顧みることなく乗り出しての電車撮影等は、ちょっと普通の人なら共有するのは難しいのかなとかは思う。

 ただ、それも程度の問題でそれらの趣味を知らない友だちに強要とかしなければいいのではないだろうか。

 私も家庭においては、プロレスを妻子に視聴の強要はしないし、ガンダムのプラモデルを無理やり作らせたりしない。

 逆に趣味が同じ夫婦や恋人、友だちだったら同じ趣味の中で推しが違う等方向性の違いで大ゲンカしてしまうこともあるらしい。

 ツイッターではそういう罵り合いをよく見かけてウンザリする。やはり趣味は自己で完結するものにつきる、と私は考えている。


 (趣味と実益)

 趣味はあくまで実生活に影響を与えないでいいと思っているが、たまにいやしばしば趣味が実益を兼ねている人もいる。

 例えば雑貨を作るのが趣味の主婦が、ネット販売したら意外に好評で家計を潤した、とか。イラストを描くのが趣味の人がツイッターでバズってしまい、書籍化したり。そういった事例もあるのである。

 しかし趣味と思って創作している間は楽しく、アイデアも湧き出ていたのに、仕事になってしまうと途端に楽しくなくなり創作意欲がなくなったりした、という話も聞いたことがある。

 ようするに趣味は永遠のアマチュアイズムを保つことが、鮮度を落とさないコツなのかもしれない。

 私も以前の職場で趣味の英会話をまわりが買ってくれて外国人教師のお世話なんかをしたことがあるのだが、ビジネス英語を交渉の場で使う(そのようなことはなかったが)より緊張せず楽しめた。

 趣味に実益を兼ねて金銭など見返りの収入があることは理想ではあるが、そうなると純粋に好奇心を犠牲にしたり、第三者に気兼ねしてしまって趣味自体を楽しめなくなってしまう恐れがある。それならば本末転倒である。

 趣味の一つが本業になってしまう人もいるであろうが、「仕事」とは飽きてからが本当の仕事である。

 本腰を入れて趣味を仕事に変えるのであればそのような覚悟も問われることだろう。


 (高齢化社会における趣味)

 少子高齢化、とくに高齢者は「人生百年時代」といわれることが現実になっている。

 仕事や子育てにはいずれ定年や子どもの独立が待っている。そのとき、生きがいを失った空虚感はいかほどであろうか。

 私の父は六十五歳で定年になり八十二の現在までジャズバンドやゴルフ、映画鑑賞、読書等趣味にいそしんでいる。たまに私の娘つまり孫と遊ぶこともあるが。

 老後を生き生きと暮らすには、趣味はあるほうがいい。認知症を防ぐ効果もあるというし、長大な自由時間の時間つぶしにもなる。

 何かに興味をもつ、好奇心をもつことに反してものごとへの関心をなくすことは心身の消耗に他ならない。

 心の若さをたもつヒントが趣味にはあるのではないだろうか。

 高齢になると現在の単調な生活よりも過去を振り返ることが多くなる。過去はいやな思い出を浄化し、いい思い出のみを純粋化してくれる作用がある。

 だが、遠い過去に思いを馳せるだけではなく「まだそれでもどうなるのかな」と未来へ思考を喚起してくれる趣味は生へのエネルギーになるはずである。


 (趣味に貴賤なし)

 いろいろな視点から趣味を俯瞰してみたところ、趣味は個人が心豊かに暮らすための友だちであり、何が高尚で何が下賤なものかはないと感じた(反社会的なものを除いてだ)。

 アニメソングが好きなのに格好をつけてクラシック音楽を聴く必要はないし、ガンダムのプラモデルを作るのが好きなのに仏像を彫る必要もない。

 誰もが春秋において自分の心に寄り添ってくれる趣味に出会え、毎日の暮らしに潤いを与えられることを切に願いつつ結びとしたい。


                  終


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ