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リベンジッッ!!

 ラズは周りの人間たちを見渡した。

 一瞬、私やリリィを視界に収めたが、気にもとめなかった。

 私たちの存在は、ラズにとってはその程度、というわけか。


 ガラブラが拳を構えると、ラズがため息をついた。


「たとえば人は、不当な暴力を受けたときにやり返す。もしくは司法機関に委ねて罰を下し、それで決着とする」


「あ?」


「お前たちは金のためにドラゴンを狩る。皮をはぎ肉を貪る。故に我々がやり返した。なのに、なぜ怒る? とことん知能が低いな」


「そうかい。お前が人間の敵なら倒すだけだ」


「ふん。一瞬で楽にしてやーー」


 言い終わる直前、リリィがラズにビームを撃った。

 ラズは容易く交わすと、リリィに接近する。


「うざいな」


「っ!」


 リリィはすぐさまシールドを展開した。


「ん? お前、そうか、あのときの」


「私はずっと、お前を覚えていた!」


「だからなんだ」


 ラズが纏う邪気が手の形へと変貌する。あの夜使っていたラズの魔法だ。

 それが何個も作られ、四方からリリィに襲いかかった。


「それこそなんだ!」


 察知の魔法でラズの攻撃を読み切り、手をすべてかわす。

 驚くラズの隙を逃さず、リリィは再度、特大のビームを発射した。


「くっ」


 ラズが吹っ飛ぶと、そこにガラブラが追撃を仕掛けた。


「殴り潰してやる!」


「雑魚が!」


 ラズがガラブラを払い飛ばすと、彼に複数のドラゴノイドが飛びかかった。


「ちぃ、しょうがねえ!」


 ガラブラは懐からグローブを取り出し、装着した。

 メリケンサックのように図太いトゲが突起していて、甲の部分には、青色の液体が入ったポンプが一体化していた。


「こんなもん使いたくなかったが!」


 そのグローブで囲んでいたドラゴノイドたちを殴っていく。

 途端、ドラゴノイドたちは殴られ、トゲが刺さった箇所を抑えて震えだした。

 ポンプ内の液体が減っている。

 妙な事態にラズが眉を寄せた。


 すると、


「あ、熱い!」


 ドラゴノイドたちは自身の体をかきむしりはじめた。

 毒でも打ち込まれたのだろうか。

 自然と、その場にいたすべての者たちが動きを止め、彼ら見つめた。


 同時に、リリィが蹲った。


「リリィ?」


「痛みが、入ってくる!」


「魔法を解いて!」


「でもそんなことしたら、ラズに勝てない」


「それどころじゃ……」


 瞬間、ドラゴノイドたちが叫びだした。

 視線を戻したとき、私は酸鼻な光景に吐き気を催す。

 ドラゴノイドの肉体が、アイスのように溶け始めていたのだ。


ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー


 爆発音は地下牢まで轟いていた。

 なにかあったのだろうか。とマイカが不安を抱いて数分後、


「マイカ!」


 レンカとオニトが地下牢へ降りてきた。


「お姉ちゃん!!」


「待ってて、いま助けるから!」


 壁に掛けてあった鍵を使い、牢を開けると、レンカはマイカに抱きついた。


「心配したんだから……」


 マイカも安堵が涙となって現れ、大好きな姉を包容した。


「お姉ちゃん……」


「逃げよう、いますぐ」


「あっ、う、で、でも」


「なに? どうしたの?」


 ここから出る時はテスカと。そう決めたばかりなのに。

 彼はまだ、完全に変わっていない。


「お姉ちゃん、私……」


「急ごう、マイカ」


 が、ずっと心配していた姉を、助けに来てくれた者たちの努力を、無下にするなんてできない。

 マイカは強く歯を食いしばってから、うなずいた。


「うん。でも、大丈夫かな? 誰かに見つかっちゃうかも」


「ダイジョブ! そのときはこの人がドラゴノイドたちをうまく言いくるめてくれるよ!」


 ポン、とオニトの肩が叩かれた。


「え!? 俺!? 無理無理無理!! 誰にも見つからないようにするための囮作戦じゃないの!?」


「お、お姉ちゃん、変わったドラゴノイドだね……」


 さっそく逃げ出そう。三人が地下から地上へ上がっていく。

 ほどなくして裏口から城を抜けたそのとき、


「おい」


 行く手を阻むよう、テスカが降り立った。

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