出会いッッ!!
さっそく私は生前身につけた縄抜け術で手を縛る縄を解いた。
いっそ他の奴隷たちも開放したかったけど、いまの私はくノ一の肉体ではなくセリーヌの肉体。貧弱な体では時間がかかってしまいそうで躊躇った。
ごめんね。
奴隷商人は手の自由を取り戻した私に驚き、目を見開いた。
「な、なにをやっている!」
ムチを振ってきたが、軽々とかわしてそのへんに転がっていた石を投げつけた。
石は額にヒットして、奴隷商人は痛みで涙を流した。
「だ、誰かこいつを捕まえてくれえ!」
その声に反応し、どこからともなく槍を持った街の警備隊たちが、ぞろぞろと集まってきた。
あまりに迅速な対応。こりゃこの街の治安は安泰ですわ。
「ち、めんどくさいわね」
私は踵を返し、全速力で走り出した。
いっそ皆殺しにするのも手だが、そうなれば指名手配は免れない。
これぞ忍法『逃げるが勝ちの術』ってやつである。
それから十数分、私は全力で逃げ切った。
いくらひ弱な体といえど、修行で身につけた走術によって体力を最低限維持したまま高速で走ることが可能なのだ(腰を低くし両手を後ろに伸ばす走り方。決してナ◯ト走りをパクったわけではない)。
気づけば街を離れ、私は静かな森に逃げ込んでいた。
「はぁ、はぁ、ここまでくれば」
「いたぞ! あそこだ!」
「逃がすか俺の奴隷!」
現実甘くなさすぎでしょ。ていうか奴隷商人さん、あんたまで来たら他の奴隷たち逃げちゃうけどいいの?
しかしこの状況、傍から見ればマイクロビキニの少女を追いかける成人男性たちの図。教育に悪すぎる地獄絵図である。
こうなったら戦うしかないのか? ゴクリと息を飲んで覚悟を決めた瞬間、
「ひえええ! 熱い! あっつい! あつつつつ〜」
全身が炎に包まれた全裸の女性が飛び出してきた。
ナイスバデーで色気たっぷりなはずなのに、真っ赤な炎が邪魔してエロい目で見れる余裕がない。
「だ、誰かお助け〜」
これには鬼の奴隷商人や警備隊たちもドン引きし、あわあわと取り乱しはじめた。
「おい! 誰かなんとかしてやれ!」
「あ、俺なぜか水がたくさん入ったバケツ持ってます!」
「よしぶっかけろ!」
本当になぜかあったバケツをひっくり返し、少女を消化した。
濡れてしまった短い金髪を犬畜生のように頭を振って水気を飛ばすと、水も滴る全裸姿で奴隷商人に膝をついた。
「さんきゅ。さんきゅクールボーイズ」
「お、おまえ、いったいなにが?」
本当になにがあったんだ。
「おつかい中に猫を見つけて、捕まえたと思ったら焼夷弾で、燃えちゃいました」
シンプルなアホだった。
てかどうやったら猫と焼夷弾間違えるのよ。薬やってるじゃん絶対。
奴隷商人たちも唖然としていたが、やがてその視線が彼女のふくよかなおっぱいへ落ちた。
商人がにやりと笑う。
「へ、へ、へ。ここで会ったのもなにかの縁。こいつも奴隷にしてやるぜ!」




