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メミーナの過去ッッ!!

 ラミーネの背後、後方という絶対的死角の先、観客席から不審な男が立ち上がり、彼女に矢を放った。

 大勢の視線がリングに集まる現在、その異変に気づいた者は、不届き者の周囲や、ふと目に入った私などのごく少数。


 トクメザが不気味に笑った。


「本当の戦いってもんを教えてやる。死ねえ!!」


 するとラミーネは、家に帰るべく踵を返すかのように、ごく自然な動きで振り返り、飛んできた矢を呆気なく掴んだ。

 トクメザは腰を抜かし、矢を放った不届き者は他の観客や大会のスタッフに取り押さえられた。


 ラミーネが矢をへし折る。


「仲間を忍ばせていた、とは、まさに卑怯の鑑。尊敬するわね」


 もしいまの一手が成功しても、自分とは無関係の事故だと貫き通すつもりだったのか。

 トクメザがうろたえ始めた。


「な、何故……」


「さ、もう終わりにしましょう」


 ラミーネは一瞬で間合いを詰めると、トクメザの頭に回し蹴りを食らわせ、気絶させた。


 衝撃的な第二試合が終わり、私とネネはメミーナを捜すため、闘技場中を走り回った。

 選手控室にはいない。食堂やお土産ショップにもいなくて、女子トイレの個室に、彼女がいた。

 膝を抱え、ガクガクと震えていた。


「メミーナ、あの人、お姉ちゃんなの?」


「やばい、やばいよ。なんでお姉ちゃんいんの!?」


 メミーナの母が異常であったように、姉のラミーネも相当な猛者なのか。

 メミーナは家族仲が悪かったようだし、もしや幼い頃から虐待されていたとか?


「そ、そんなに怖いの? あの人」


「怖いなんてもんじゃないよ! そう、あれは私が6歳のころ……」


 あ、回想がはじまるのね。



 十年前。

 そう、当時私は、必殺技の特訓をしていた……。


「うおおおおお!!!! かめはめはめはめかめ派あああ!!!!」


 合わせた両手からビームが出て車を一台破壊したあの日、私はかなり舞い上がっていた。


「わ〜い。お姉ちゃ〜ん!! 必殺技できたよ〜」


 側で見ていたお姉ちゃんに抱きつくと、お姉ちゃんは私の腕をつかみ、骨を折ったのだ。


「ぎゃああああ!! なにすんのおお!!」


「うふふ、やっぱりメミーナは笑ってる顔より痛がってる顔の方が似合ってるわね」


「なんというサイコパス。しょうがない、腕を付け替えるか。いまの腕取って、新しいの付け替えて……って、ああ!! 間違えてタンスくっつけちゃった!! なんか重くてデカイなと思ったらタンスだったよお姉ちゃん!!」


「黙れ」


 お姉ちゃんに喉元を突かれ、私は喉を潰されてしまった。


「ぐええ」


「その死にそうな声、聞いてて癒やされるわ。お姉ちゃん、メミーナの声が好きよ」


「ふえぇ……」


「いままでメミーナのギャグって耳障りだったけど、ギャグパワーで手足取れるならしばらく四肢取ってよっか」


「?」


「そっちの方が可愛いもんね」


 とまあ、そんな日常があったのだった……。

 

 回想終わり。




 おいおいおいおい、本編一旦止めろ。

 急にグロ描写だすな!

 ギャグだから問題ないでしょみたいな空気で出すな。コンプライアンスって言葉を知らないで生きてきたのかお前の人生!!


「あの人は、お姉ちゃんは私のキャラを殺すんだよ〜」


 そんなこんなで、三次試験の始まるを告げる放送が流れた。

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