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第二試合ッッ!!

 ネネは選手入場口に戻ってきて、私とハイタッチを交わした。


「なによネネ、強すぎんじゃない」


 ネネはやや照れて、頭をかいた。


「あの程度、胸を張るほどでも。……あ」


 少し離れた後方で、メミーナがネネを見つめていた。


「メミーナさん」


「ネ、ネネ……。だめよ、わたしゃあ一匹狼になると決めた身。誰かと親しくするなんて」


「しかし孤高な獣とて花や木に寄り添うこともある。私はメミーナさんの花になりましょう」


「うわああああん!! ネネちゃあああああん!!!!」


 メミーナは大粒の涙を流してネネに抱きついた。


「あんな鉄仮面とは大違いだよおおおお!!」


 誰のことを言ってるんだか。

 私も仲直りの気の利いた言葉でもかけてやろうと思ったが、


「第二試合、選手入場!!」


 実況の声に遮られてしまった。

 すると、選手入場口の奥から、一人の選手が歩いてきた。


「どけ。女ども」


 男の声だった。

 言われるがままに道を開けると、通り過ぎる間際、彼はニヤリと笑った。


「この時点で三人を五回ずつ殺せた。しょせんは遊びだな」


 カチンとくる挑発をしながら男が入場すると、反対の入場口から、もう一人の選手がリングに入った。

 やがて二人が相対すると、互いにローブを脱いだ。

 男はなんとも卑劣そうな、爬虫類顔をしていて、一方の相手は、若い女性であった。

 彼女が素顔を晒したと同時、ごくごく小さな声で、メミーナがつぶやいた。


「お姉ちゃん?」


 ……え? メミーナの、お姉ちゃんだって?


「第二試合を戦うのはこの二名!! 殺した相手は15人、死刑囚が巡り巡って何故ここに!? トクメザ・ペンペンシーッッッ!!」


 トクメザなる男が舌なめずりをする。


「対するは、経歴不明の金髪の美少女。ラミーネェェェェ!!!!」


 ラミーネの顔は、しっかりを前を向いていた。

 だがその視点は眼前のトクメザではなく、はるか後方にいる私たちの、メミーナに定まっているようで……。


「試合開始ッッ!!」


 宣言と同時、トクメザが勢いよく息を吹いた。

 ラミーネは眼前でピンと指で弾く動作をする。おそらく、口から放たれた毒針を、指で弾いたのか。

 

 続けて、トクメザが煙玉をラミーネの足元に叩きつけた。

 白煙がラミーネを包む。

 そこへ、トクメザは両手に握った小型ナイフを何本も投げつける。

 ちょちょ、待て待て待て、私より先に忍者みたいな戦い方するんじゃあない!!

 これじゃ観客の目に私が二番煎じキャラとして写っちゃうだろうがい!!


 やがて煙が霧散すると、ラミーネの姿がうっすらと現れた。

 あれほどのナイフを投げられてなお、彼女は無傷。ノーダメージであった。


「ちっ」


 トクメザは拳を構え、走り出す。

 殴り合いをはじめるか。そう予感させた直後、彼は殴りかかるモーションを中断し、水風船をラミーネに投げつけ一気に離れた。

 が、ラミーネは水風船を、乳飲み子を受け取るが如き繊細かつ優しい動作で受け止め、投げ返したのだ!!

 トクメザに直撃するなり、風船が割れる。

 中に入っていた液体は、この距離からでも鼻のいい私なら匂いでわかる。ガソリンだ。


 思わぬ反撃に、トクメザは目が点になっていた。

 ラミーネが微笑む。


「なるほど、手段は選ばずがお前の戦術というわけね。さあ、予定通り火を放ってみてはどう?」


「くっ、この女!」


 ふと、周りを見渡せば、メミーナが消えていた。

 首をかしげて視線を試合に戻せば、


「あっ!!」


 観客席からラミーネの背後に向けて、矢が放たれていたっ!!

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