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プロローグ
はっきり言おう。私は人を殺したことがある。
汚職警官、卑怯卑劣な権力者、動物保護のための募金とか抜かしながら結局は自分の懐に入れてしまうロクな仕事ができない悪ガキ。などなど。
法では裁けない悪を死でもって懲らしめてやるのが現代に生きるくノ一である私の役目なのである。
「芹子〜。忘れ物ない〜?」
「ないよママー」
「気をつけて学校に行くのよ」
「大丈夫だよ。私、くノ一だよ? 行ってきまーす」
まさか私の頭上にスカイダイビングの降下に失敗した横綱が落ちてくるとは夢にも思わなかった。
こうして私の14年という短い人生は、結局セックスできずにミンミン鳴きながら息絶えるセミより悲惨なシチュエーションで幕を閉じたのである。




