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モノクロレインボーシンフォニー  作者: 華水ながれ
第一部 -『夢』と『現実』-
2/5

『夢』が『現実』になったら?

 ―――


「わあぁぁぁぁぁぁぁ!!!!?」


 静まった部屋に、私の叫び声が響く。

 突然の衝撃に、椅子の背もガタッ!!!と悲鳴をあげた。


「はぁ、はぁ……」


 心臓がバクバクしてる。

 私ったら、どうして『夢』にここまで影響されやすいんだろう。


 落ち着け落ち着け。状況を整理しよう!

 今日、仕事が全然終わらなくて、家で資料整理をやってました。

 だんだん頭が回らなくなってきました。

 ちょっと仮眠しようと思って、机に突っ伏しました。


 …………で、『夢』で零くんにいきなり告白されて、キスされました。


 私の記憶は、ここまで。


 思考が止まった頭に、ちゅんちゅん……と外から朝の知らせが。


「ああああ……突っ込みどころ満載だよぉ……」


 仕事、まったく終わってない。

 零くんに、お返事返してない。


 何もかも中途半端。これだから私は……!


 山野(やまの) (はす)・23歳。

 人生何もかも、中途半端な出来損ないです。



 ―――早朝7時。

 朝一番の会社に、こっそり出社。

 誰もいない、静まったオフィスだ。


 私は一言でいうと『仕事が出来ない』人間。

 始業時間9時の会社にこうやって出社して、

 2時間のフライングを決めて、みんなに追いついている。

 ……いや、『使えない』って言われてるから追いついてもいないのか。


 昨日、中途半端にノートパソコンで作った資料を仕上げて、コピー機を起動。


 資料を印刷すれば私の仕事の遅れは帳消し……!

 ゴールに差し掛かったその時だった。


 ガガガガガガ……ピー! ピー!


「ひぃぃっ!!?」


 突然の恐怖の警音に、心臓が飛び跳ねる。

 コピー機曰く、『故障の可能性があります。カスタマーサポートへ連絡します』との事だ。


 ……え? 有無を言わさず連絡しちゃうの?

『連絡しない』って選択肢はなし?


 冷や汗がダラダラと垂れる。

 どうしようこれ、しかも時間のログ残ってるじゃん。

 私がこっそり出社してるのがばれたら……

 万事休す……がっくりと肩を落とす。



 プルルルル……

 この時間に、電話。

 絶対普段だったら取りたくない電話だけど、

 今は、出るしかない。


 3回深呼吸して、受話器を取る。


「お世話になっておりますっ! 白詰(しろつめ)サービス・山野でございまひゅっ!」


 ……あ、最後噛んだ。


『お世話になっております。私、アーテルテクノロジー・サポートの藍内(あいうち)と申します。

 白詰サービス様のお電話でお間違いないでしょうか?』

「あ、はい……」

『先程、コピー機でエラーを検知しましたので、連絡させて頂きました。

 現在も状況は変わりないでしょうか?』

「はい、変わらないです……」


 その後、電話に誘導されるように私はただ『はい』『いいえ』を繰り返した。

 最後に『それでは、弊社の近くですので今すぐ伺います』と言われ、通話は終了した。


 すごいな……

 客が何も言わなくても、こうやってちゃんと対応できるんだ……私とは大違い。


 ―――10分後。

 来客を知らせるベルが鳴った。


『アーテルテクノロジーの藍内です。よろしくお願い致します』

「はい! 今開けます!」


 セキュリティロックを解除し、扉を開けた。



「……え」


 扉の先にいたのは、『夢』で見知った『あの人』だった。


「零……くん……?」

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